本ブログでは、テュフ ラインランド ジャパンが提供する「太陽光発電所・蓄電所向け技術評価」に関する情報を、専門家がわかりやすく解説します。
今回は「反射光評価(Glare Assessment・グレアアセスメント)」についてご紹介します。

再生可能エネルギーの中でも設備数が最も多い太陽光発電ですが、その普及とともに近年課題として取り上げられるのが「反射光(グレア)」の問題です。周辺環境や近隣住民への配慮の観点からも、反射光に関する評価と適切な対策が非常に重要なポイントになっています。
太陽光発電所の「反射光」とは?
太陽光パネルは、太陽の光を受けて電気を生み出しますが、その過程ですべての光を吸収できるわけではなく一部は反射されます。この反射された光が「反射光(グレア)」と呼ばれ、以下のような場面で問題になることがあります。
• 空港周辺におけるパイロットや管制塔の視界妨害
• 高速道路沿いでのドライバーの注意力低下
• 住宅地での生活環境への影響(眩しさ・日照障害など)
太陽光パネルは基本的に反射率の低い素材で構成されていますが、設置角度や周辺環境によっては強い反射光が生じることがあるため、周辺への影響評価を求められるケースもあります。
空港や高速道路周辺での設置とその課題
空港や高速道路周辺には、建築が制限されている緩衝地帯や管理用地、法面(のりめん)など、未利用の広大な土地が数多く存在します。これらのエリアは高い建物や樹木が少なく、日照条件が良いため、太陽光発電にとって非常に好適なロケーションです。日本を含めた世界各国において、こうした土地を活用した太陽光発電所の設置が進んでいますが、同時に反射光による安全リスクも懸念されており、設計・計画段階から慎重な配慮が特に必要なエリアといえるでしょう。
規制整備に関する動向
すでに海外では、実際に空港近くの太陽光発電所が反射光による苦情を受け、パネルの向きを変更した例や、眩しさの影響で滑走路が一時的に使用できなくなった事例も報告されています。
特にアメリカや一部の欧州諸国では、航空・交通への影響を考慮したグレア評価のガイドラインが整備され、空港などでは実質的な評価義務化が進んでいます。アジアでも同様の検討が始まっている中で、日本では明確な全国統一の規制はまだ整っていないものの、国土交通省や地方自治体が独自のガイドラインを設け、事前協議や安全確認を求めるケースも増えています。特に空港や自衛隊基地の周辺では、太陽光発電所の設置に際して慎重な姿勢が求められる傾向があります。
再生可能エネルギーの推進と公共安全の両立が、各国の課題として注目されています。
地域との共生を見据えた「反射光評価」の重要性
太陽光発電所の計画や運用では、発電効率の向上だけでなく、地域や周辺環境への配慮を踏まえた取り組みが注視されるようになってきました。空港や道路といった公共インフラはもちろん、住宅地や商業施設、工業団地の周辺においても、丁寧な配慮が求められます。
太陽光パネルが生む「反射光」の視覚的・物理的影響を定量的に把握し、可視化することは、周辺環境への配慮の一環として重要です。こうした評価結果は、住民説明会や行政との協議などにおいて、地域との円滑なコミュニケーションを図るための有効なツールにもなります。
テュフ ラインランド ジャパンの反射光評価(Glare Assessment)
テュフ ラインランド ジャパンでは、下記の専用ツールを使用し、反射光の影響を受ける範囲および評価対象地点における反射光影響を受ける時期・発生時間帯・その影響レベルを算定し、国際ポリシー・ガイドラインに基づく合否判定を出します。
【評価使用ツール】
・ 弊社独自開発の計算ツール:太陽位置、反射方位等の詳細な試算
・ 米国航空安全協会(FAA)の承認を受けた専用ソフトウェアForge Solar:反射光による眩しさ(グレア)の影響評価
日本語または英語による評価レポートには以下の内容がまとめられます。
・ 弊社の反射光評価に関連する、各種定義等の説明
・ 評価対象の地点の反射光(グレア)影響に関する合否結果
合否に関わらず、「反射光影響あり」の試算が出た場合には以下の内容が追記
・ 年間における最大影響時間(総計)
・ 影響時期、時間帯
・ 1日当たりの最大継続時間
・ 上記結果となる根拠を示す、各種ツールで試算された評価グラフ等の掲載
「反射光評価(Glare Assessment)」に関するご相談、詳細はお問い合わせください。
お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com)
< 太陽光発電所・蓄電所向け技術評価解説 >
太陽光発電所・蓄電所向け技術評価解説では、太陽光発電所・蓄電所に関するテュフ ラインランド ジャパンにおける評価サービスを、専門家がわかりやすく紹介します。
・太陽光発電所における再調達価額評価 ―評価解説 vol.2―
・屋根置き型太陽光発電設備(産業用)における安全性評価 ―評価解説 vol.3―
・反射光評価 ―評価解説 vol.4―
・蓄電所の騒音評価|BESS開発時に考慮すべき環境基準と騒音規制法の基礎知識 ―評価解説 vol.5―
・系統用蓄電池の騒音対策|騒音評価、騒音シミュレーション ―評価解説 vol.6―
・系統用蓄電池 レンダー向け技術デューデリジェンス ―太陽光発電所・蓄電所向け技術評価解説 vol.7―
・BESS Technical Due Diligence for Lenders | Solar & ESS Project Evaluation
更新日:9/8/2025

