本ブログでは、テュフ ラインランド ジャパンが提供する「太陽光発電所・蓄電所向け技術評価」に関する情報を、専門家がわかりやすく解説します。今回は金融機関、投資機関向け発電量予測報告書についてご紹介します。

金融機関、投資機関向け発電量予測報告書
第三者評価機関による報告書とは
特別高圧太陽光発電所などの大規模な太陽光発電事業の開発に際し、金融機関、投資機関からのプロジェクト・ファイナンスによる資金調達は一般的となっています。その際、融資する側の金融機関、投資機関は融資対象事業を独自に調査するとともに、融資判断の参考資料として利用される「発電量予測報告書」などの、専門性の高い調査項目に関しては、第三者評価機関に依頼することがあります。
テュフ ラインランド ジャパンの発電量予測報告書はこれまで多くの国内、および外資系金融機関、投資機関に利用されてきた実績があります。
発電所の仕様、設計および長期気象データを考慮した発電量予測
テュフ ラインランド ジャパンの発電量予測は、提供された発電所の資料および発電所所在地における長期気象データ等の情報を基に評価を行います。発電量予測専用のソフトウェアであるPvsyst※によりシミュレーションを実施のうえ、以下の項目を考慮した発電量予測報告書を作成し発行します。
• 気象データ(日射量、平均気温、降水量、および積雪量)
• 複数の日射量データベースの情報、比較分析
• システム構成の詳細情報
• 3Dモデルの作成
• 発電量の計算
• シミュレーションおける入力設定および損失値
• 構成部品の損失:モジュール、インバータ、ケーブル
• 遮光要因の情報、分析
• 劣化率、影損失、熱損失、および反射損失に関するコメント
• 構成部品とシステムの低下要因
• 運用期間に従った発電量予測値の分析(20年間における評価)
• シミュレーション結果の評価(P50, P75, P90)
運用期間を25年や30年等に変更しての評価や上記P値にP85やP99等を追加するなど、可能な限りご要望に合わせた報告書作成が可能です。
※Pvsystとは
Pvsystは、世界的に利用されている太陽光発電システムの発電量予測を行うシミュレーションソフトで、発電所立地、設計情報、日射量データ等を基に発電量を高精度に予測できます。特に、3Dモデルを作成してパネルの設置環境を再現することができるため、地形および周囲の樹木や構造物による影の影響を詳細に分析できる点が特徴です。これにより、影による発電量の損失をより正確に評価することが可能になります。
長期気象観測データの選定が重要
高精度の発電量予測には信頼性の高い日射量データの選定が重要です。テュフ ラインランド ジャパンでは異なるデータベースを妥当性確認のために比較分析を行い、最適なデータを選定します。
【レポート内サンプル】
全天日射量データの比較
異なるデータベース間における全天日射量のばらつき

シミュレーションに用いる気象データ
損失・利得の項目とそれらの値について
発電量に影響を与える損失・利得の原因は多岐に渡ります。各項目の説明、入力パラメータ、計算結果をレポートに記載しています。入力パラメータについてはテュフ ラインランド グループのPVエキスパートで構成される技術委員会にて検討し、最終確定した数値を採用しています。
また、テュフ ラインランド ジャパンでは積雪を考慮した発電量予測シミュレーションを行っています。積雪による損失は、下記「アレイ表面汚れ損失」として報告書に記載されます。
【レポート内サンプル】
損失

発電量予測サービスにおける主な実績
テュフ ラインランド ジャパンの発電量予測サービスは低圧~特別高圧まで幅広い実績があります。以下に主な一例を示します。
【全国区 バルク案件対応実績例】
【ゴルフ場跡地、両面モジュール/反射シート を含む評価実績例】

【その他主要な発電量予測シミュレーション実績】

テュフ ラインランド ジャパンの発電予測報告書に関するご相談、詳細はお問い合わせください。
お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com)
< 太陽光発電所・蓄電所向け技術評価解説 >
太陽光発電所・蓄電所向け技術評価解説では、太陽光発電所・蓄電所に関するテュフ ラインランド ジャパンにおける評価サービスを、専門家がわかりやすく紹介します。
・金融機関、投資機関向け発電量予測報告書 ―評価解説 vol.1―
・太陽光発電所における再調達価額評価 ―評価解説 vol.2―
・屋根置き型太陽光発電設備(産業用)における安全性評価 ―評価解説 vol.3―
・反射光評価 ―評価解説 vol.4―
・蓄電所の騒音評価|BESS開発時に考慮すべき環境基準と騒音規制法の基礎知識 ―評価解説 vol.5―
・系統用蓄電池の騒音対策|騒音評価、騒音シミュレーション ―評価解説 vol.6―
・系統用蓄電池 レンダー向け技術デューデリジェンス ―太陽光発電所・蓄電所向け技術評価解説 vol.7―
・BESS Technical Due Diligence for Lenders | Solar & ESS Project Evaluation
更新日:9/8/2025

