昨今、空気清浄機は、一般家電として家庭への普及が進み、コロナ禍ではさらに除菌機能も取り入れられた製品の開発が進んでいます。空気清浄機の基本的な方式には、以下のようなものがあります。
空気清浄機の基本的な方式
・ファン方式
ファンにより空気を強制的に吸込み、ホコリなどの浮遊物をフィルタに吸着(濾過)させることにより、空気をきれいにして排出する方式。
・電気集じん方式
高圧放電によりホコリなどの浮遊物を帯電(プラス)させ、帯電させたフィルタ(マイナス)に吸着させることにより、空気をきれいにして排出する方式。
・イオン方式
空気中にイオンを放出し、浮遊物の働きを失わさせる方式。
現在は、これらにUV機能を搭載し、除菌機能として加わった製品も販売されています。
空気清浄機の適用規格はIEC 60335-2-65ですが、高圧やUV機能に対する安全要求として、以下のようなものがあります。
空気清浄機の高圧やUV機能に対する安全要求事項
1) オゾン濃度の測定 (cl.32)
a) 試験環境:壁面がポリエチレンシートで出来た開口部の無い部屋 (寸法2.5m×3.5m×3.0m)b) 温度・湿度条件:25℃、50%
c) 測定箇所:機器の空気の吐出口から50mm
d) 測定時間:24時間の連続運転
e) 規定値:0.05ppm以下
2) UV-Cを組み込んだ空気清浄機の追加要求事項
a)注意表示 (cl.7.1)
人に対する警告表示が要求されています。
b)マニュアルへの注記記載 (cl.7.12)
UV-C機器の交換、メンテナンスおよび予防措置などが要求されています。
c) 構造要求 (cl.22.103/22.104/22.105/22.106)
UV-C機器の放射、インターロック保護、内部の材料耐性などが要求されています。
d) 内部配線 (cl.23.101)
UV-Cの影響を受ける内部配線は耐性試験が要求されています。
(附属書AAの試験及び耐圧試験)
e) UV-Cの放射確認試験 (cl.32.102)
- 試験条件: 定格電圧、通常動作
- 測定個所: 製品から300mm
- 規定値: 総放射照度0.003W/m2(200nm – 280nmの波長で) 分光放射照度10-5 Wm-2nm-1
および総放射照度1mW/m2 (250nm – 400nmの波長で)
IEC 60335 解説シリーズ3回目となる今回は、空気清浄機の規格解釈について解説しました。次回はトランスの評価について解説します。
IEC 60335 解説シリーズ
その1: IEC 60335-1 第6版の概要、および第5.2版からの改正点
その2:遠隔操作関連の要求事項
その3:空気清浄機の規格解釈(IEC 60335-2-65)<--- 今回はこちら
その4:トランスの評価(IEC 60335-1 cl.24.1.2)
その5:UV試験の要求について
その6:IEC 62368-1適合電源を使用した場合の評価について
担当部門
テュフ ラインランド ジャパン株式会社 関西テクノロジーセンター(KTAC)
製品事業部 電気製品部 家電製品課
家電製品を中心に、各国法律に基づく規格適合検査を行う部門。豊富な知識や経験を有した検査官・エキスパートが多数在籍。
<参考リンク – テュフ ラインランド ジャパン 公式ブログ>
電気用品安全法解説シリーズ
その1 -電気消毒器は「特定電気用品以外の電気用品」、ご存じですか?
その2 - 照明器具の「雑音の強さ」の見直し
その3 - Sマーク認証「電気湯沸器の転倒流水対策に係る運用基準」について
IEC 62368-1:2018 - スキマ時間で理解するIEC 62368-1 第2版から第3版への変更点【オンデマンドセミナー】<無料>
Chapter 1 : 用語編
Chapter 2 : 一般要求事項と電気的要因による傷害編
Chapter 3 : 第6、8、9、10項の変更点編
<関連サービス – テュフ ラインランド ジャパン ウェブサイト>
家電製品の試験・認証
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更新日 : 9/29/2023