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IEC 60335解説シリーズ その5 - UV試験の要求について

Posted by TUV Rheinland Japan on 2023/07/13 9:22:38
TUV Rheinland Japan

昨今、コロナ禍の影響もあり、殺菌等を目的としたUV機能搭載の生活家電が増えてきました。IEC 60335-1にもUVに関する要求事項が規定されています。


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UVとは、Ultraviolet(紫外線)の略で、放射照度は、(100 ≤ λ < 400) nmの波長範囲として定義されています。この中で、一般的に知られている紫外線としては、以下の分類があります。
UV-A: 波長範囲 (315 ≤ λ < 400) nm
UV-B: 波長範囲 (280 ≤ λ < 315) nm
UV-C: 波長範囲 (100 ≤ λ < 280) nm
※上記定義は、ISO 21348:2007参照

IEC 60335-1では、直接または反射UV-Cにより、人もしくは製品内材料への暴露要件が規定されています。今回は、IEC 60335-1 第5.2版で追加された製品内材料への暴露要件であるAnnex Tに注目します。

Sub-clause 22.57, Annex Tの要求
製品内部に使用されている非金属材料が、直接または反射UV-Cにより暴露されるものは、IEC 60335-1 22.57項およびAnnex Tによる要求内容を満たす必要があります。Annex Tは、ISO 4892-1およびISO 4892-2がベースとなっていますが、一部修正され適用されますので、合わせて確認されることをお勧めします。

試験手順
a) 製品で対象となる材料にUV-Cを放射させる。
UV-C放射源は波長が254 nm で10 W/m2 の分光放射照度をもつ、石英の外管を備えた低圧水銀ランプとなる。この時のブラックパネルの温度は、63 ℃±3 ℃とする。

b) UV-Cの影響を受ける非金属材料を、3 個以上の試験片を使い暴露する。
内部配線を試験する場合は10 個の試験片を暴露する。

c) 試験片は応力がかからないように試験片ホルダに取り付ける。

d) 曝露時間
1000時間

e) 曝露後の特性変化の試験
曝露後に以下の特性試験を実施し判定する。

対象部分 試験 判定
機械的支持に用いる非金属材料

引張強さ (ISO 527) or 
曲げ強さ (ISO 178)

 試験後の保持率70%
および試験片にはひび割れなどの目に見える劣化の兆候がないこと。

耐衝撃性を要求する非金属材料

シャルピー試験 (ISO 179-1) or 
アイゾット衝撃試験 (ISO 180) or
引張衝撃強さ (ISO 8256)

内部配線

IEC 60335-1 23.5項の耐圧試験

試験中、絶縁破壊が起きないこと。

 

※1 試験に要する時間が長時間になりますので、ご要望の際は余裕を持ってご依頼ください。
また、非金属材料が直接暴露しない構造であれば、本要求は適用不要となりますので、ご確認ください。
※2 IEC 60335-2 シリーズで、要求事項が変更される場合がありますのでご注意ください。

 

※本記事は、IEC 60335-1第5.2版をお手元にご準備いただき、ご参照いただきながらご確認ください。

IEC 60335 解説シリーズ
その1: IEC 60335-1 第6版の概要、および第5.2版からの改正点 
その2:遠隔操作関連の要求事項
その3:空気清浄機の規格解釈(IEC 60335-2-65)
その4:トランスの評価(IEC 60335-1 cl.24.1.2)
その5:UV試験の要求について <--- 今回はこちら
その6:IEC 62368-1適合電源を使用した場合の評価について

担当部門
テュフ ラインランド ジャパン株式会社 関西テクノロジーセンター(KTAC)
製品事業部 電気製品部 家電製品課
家電製品を中心に、各国法律に基づく規格適合検査を行う部門。豊富な知識や経験を有した検査官・エキスパートが多数在籍。

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更新日 : 9/29/2023

Topics: 電気安全, tuv.communication