昨今、コロナ禍の影響もあり、殺菌等を目的としたUV機能搭載の生活家電が増えてきました。IEC 60335-1にもUVに関する要求事項が規定されています。
UVとは、Ultraviolet(紫外線)の略で、放射照度は、(100 ≤ λ < 400) nmの波長範囲として定義されています。この中で、一般的に知られている紫外線としては、以下の分類があります。
UV-A: 波長範囲 (315 ≤ λ < 400) nm
UV-B: 波長範囲 (280 ≤ λ < 315) nm
UV-C: 波長範囲 (100 ≤ λ < 280) nm
※上記定義は、ISO 21348:2007参照
IEC 60335-1では、直接または反射UV-Cにより、人もしくは製品内材料への暴露要件が規定されています。今回は、IEC 60335-1 第5.2版で追加された製品内材料への暴露要件であるAnnex Tに注目します。
Sub-clause 22.57, Annex Tの要求
製品内部に使用されている非金属材料が、直接または反射UV-Cにより暴露されるものは、IEC 60335-1 22.57項およびAnnex Tによる要求内容を満たす必要があります。Annex Tは、ISO 4892-1およびISO 4892-2がベースとなっていますが、一部修正され適用されますので、合わせて確認されることをお勧めします。
試験手順
a) 製品で対象となる材料にUV-Cを放射させる。
UV-C放射源は波長が254 nm で10 W/m2 の分光放射照度をもつ、石英の外管を備えた低圧水銀ランプとなる。この時のブラックパネルの温度は、63 ℃±3 ℃とする。
b) UV-Cの影響を受ける非金属材料を、3 個以上の試験片を使い暴露する。
内部配線を試験する場合は10 個の試験片を暴露する。
c) 試験片は応力がかからないように試験片ホルダに取り付ける。
d) 曝露時間
1000時間
e) 曝露後の特性変化の試験
曝露後に以下の特性試験を実施し判定する。
対象部分 | 試験 | 判定 |
機械的支持に用いる非金属材料 |
引張強さ (ISO 527) or |
試験後の保持率70% |
耐衝撃性を要求する非金属材料 |
シャルピー試験 (ISO 179-1) or |
|
内部配線 |
IEC 60335-1 23.5項の耐圧試験 |
試験中、絶縁破壊が起きないこと。 |
※1 試験に要する時間が長時間になりますので、ご要望の際は余裕を持ってご依頼ください。
また、非金属材料が直接暴露しない構造であれば、本要求は適用不要となりますので、ご確認ください。
※2 IEC 60335-2 シリーズで、要求事項が変更される場合がありますのでご注意ください。
※本記事は、IEC 60335-1第5.2版をお手元にご準備いただき、ご参照いただきながらご確認ください。
IEC 60335 解説シリーズ
その1: IEC 60335-1 第6版の概要、および第5.2版からの改正点
その2:遠隔操作関連の要求事項
その3:空気清浄機の規格解釈(IEC 60335-2-65)
その4:トランスの評価(IEC 60335-1 cl.24.1.2)
その5:UV試験の要求について <--- 今回はこちら
その6:IEC 62368-1適合電源を使用した場合の評価について
担当部門
テュフ ラインランド ジャパン株式会社 関西テクノロジーセンター(KTAC)
製品事業部 電気製品部 家電製品課
家電製品を中心に、各国法律に基づく規格適合検査を行う部門。豊富な知識や経験を有した検査官・エキスパートが多数在籍。
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家電製品の試験・認証
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更新日 : 9/29/2023