カメラシステムに求められる「見えること」と「動き続けること」
自動車の電子化が進む中、物理ミラーをカメラに置き換えるCMS(Camera Monitor System)や、後退時に歩行者などを検知するRVCS・検知システムの採用が拡大しています。これらのシステムに関係する代表的な法規が、UN-R46(間接視界装置)とUN-R158(後退走行時の車両後方の交通弱者に対する認知)です。さらに、それらの電子システムにはUN-R10によるEMC適合も求められます。

Addenda to the 1958 Agreement (Regulations 41-60) | UNECE
Addenda to the 1958 Agreement (Regulations 141-160) | UNECE
Addenda to the 1958 Agreement (Regulations 0-20) | UNECE
UN-R46は「安全に見えること」を規定する
まずUN-R46は、従来のミラーに代わるCMSの性能要求を規定しています。
CMSは、カメラ、制御ユニット、モニターで構成され、適切な視界、画質、色再現性、レイテンシー、故障検知機能などが要求されます。単に映像を表示するだけではなく、「運転者が安全に周囲を認識できること」が重要なポイントです。
例えば、画像の遅延は200 ms未満、光源のにじみやスミアの抑制、故障時の警告表示など、多岐にわたる要求事項が定められています。これはCMSが単なる表示装置ではなく、安全に直結するシステムだからです。
UN-R158は「後退時の交通弱者保護」を規定する
一方のUN-R158は、後退時における歩行者や自転車利用者などの交通弱者(VRU)の保護を目的としています。後方視認カメラ(RVCS)や超音波センサ、レーダーなどを用いた検知システムに対して、視界範囲、検知率、応答時間、自己診断機能などを規定しています。部品単体の性能だけではなく、車両全体として後退イベント中に確実に機能することが求められています。
UN-R10は「電磁環境でも機能すること」を規定する
しかし、どれほど優れたCMSや検知システムであっても、電磁ノイズにより誤動作してしまっては安全を確保できません。そこで必要になるのがUN-R10です。UN-R10は、自動車およびESA(電気電子サブアセンブリ)に対するEMC法規であり、放射エミッション、放射イミュニティ、伝導エミッション、伝導イミュニティなどの試験によって、システムが電磁環境の中でも正常な機能を維持できることを確認します。
「何を実現するか」と「その機能を維持できるか」
実務的にみると、UN-R46・UN-R158が「何を実現するべきか」を規定しているのに対し、UN-R10は「その機能を電磁環境でも維持できるか」を規定しています。したがって、CMSやRVCS、検知システムの開発では、光学性能やHMI設計だけでなく、EMC設計と型式認可戦略を初期段階から一体で検討することが重要です。特にUN-R10の07シリーズ対応や将来の認可移行計画は、今後の製品開発に大きな影響を与えるテーマと言えるでしょう。
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UN-R46/R158 空間・光学要件による、空間・光学設計の最適化
UN-R10 ➡ EMC要求(機能維持) |
セミナー資料2:0826_発表用R46R158R10.pptx TUV Rheinland Japan Ltd.
テュフ ラインランド ジャパンは、UN-R144/UN-R10認可やその他の活動支援をおこなっています。特に認可においては、規則の内容だけでなく、有効日や義務付け時期など複雑な要求がありますので、ご不明な点はぜひお問い合わせください。
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網本 德茂(あみもと のりしげ) テュフ ラインランド ジャパン株式会社 モビリティ事業部 モビリティ技術開発センター テクニカルマネージャ 1985年よりマツダ株式会社にてEMC規格(車両・部品)制定・改訂、評価運営を担当、日本自動車技術会CISPR分科会委員、自工会EMC分科会委員を歴任後、2023年より現職、車両系EMC全般を担当、2026年より日本自動車技術会CISPR分科会委員 |
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シリーズ「自動車のEMC規格」
第1回:UN-R144とUN-R10の関係を理解する ~eCall(AECS)認可におけるEMCの重要性~
第2回:UN-R46・UN-R158・UN-R10の関係を理解する ~「見えること」と「電磁環境でも機能すること」は別の要求である~


