近年、車両の事故緊急通報システム(AECS、いわゆるeCall)の搭載が進む中、UN規則である「UN-R144」と「UN-R10」の理解は欠かせなくなっています。ここでは、両規則の共通点と相違点、そして認可取得における実務上のポイントを解説します。

REFERENCE: Addenda to the 1958 Agreement (Regulations 141-160) | UNECE
REFERENCE: Addenda to the 1958 Agreement (Regulations 0-20) | UNECE
UN-R144は、事故発生時に緊急通報を実施するAECSの機能要件を規定する法規です。対象はAECC(構成部品)、AECD(装置)、AECS(車両システム)であり、それぞれに対応した認可ルート(PartⅠa、Ⅰb、Ⅱ、Ⅲ)が用意されています。特にGNSSによる位置測位、通信機能、バックアップ電源、耐衝撃性能などが重要な認可項目です。
| UN-R144 主な技術要件(概要) 開発体制、サプライチェーン、市場戦略に基づき、最適な経路を選択する |
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ポジショニング性能 Annex 10 ・GNSS 互換性:GLONASS、Galileo、GPS + SBAS |
耐衝撃試験 Annex 9 ・試験方法:スレッド試験 |
電源、オーディオなど ・バックアップ電源:5分(通話)→ 60分(待機)→ 5分(通話) |
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セミナー資料1:Toshihide Yoshida 2026, R144_regulation_outline. TUV Rheinland Japan Ltd.
一方、UN-R10は車両および電子部品(ESA)のEMC要求を規定する法規です。放射エミッション、放射イミュニティ、伝導エミッション、伝導イミュニティなどを評価し、電磁ノイズ環境下でも「イミュニティ関連機能」が正常に動作することを証明します。AECSもその対象機能に含まれ、EMC試験結果が認可取得に直結します。
両規則の最大のポイントは、「UN-R144が機能要求を定義し、その機能が電磁環境下でも維持されることをUN-R10で証明する」という関係にあります。例えばEMC試験でGNSS受信や携帯通信機能が停止すると、MSD(最小データセット)の送信に失敗し、結果としてUN-R144の要求も満足できません。つまり、R10不合格は最終的にR144不合格につながる可能性があります。
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UN-R144とUN-R10の関係 |
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部品認可視点 |
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AECC開発 |
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UN-R10試験 |
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EMC適合 |
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UN-R144認可 |
製造業者にとって重要なのは、単にEMC試験に合格することではなく、「その試験結果がどのUN-R144要求を保証しているのか」を説明できることです。特にGNSS性能、自己診断機能、通信機能の維持は認可取得の鍵となります。今後AECS関連製品の開発や認可を進める際は、UN-R144とUN-R10を別々の規則としてではなく、一連の認可活動として捉えることが重要と言えるでしょう。
テュフ ラインランド ジャパンでは、UN-R144/UN-R10認可やその他の活動支援を提供しております。特に認可においては、規則の内容だけでなく、有効日や義務付け時期など複雑な要求がありますので、お問い合わせください。
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網本 德茂(あみもと のりしげ) テュフ ラインランド ジャパン株式会社 モビリティ事業部 モビリティ技術開発センター テクニカルマネージャ 1985年よりマツダ株式会社にてEMC規格(車両・部品)制定・改訂、評価運営を担当、日本自動車技術会CISPR分科会委員、自工会EMC分科会委員を歴任後、2023年より現職、車両系EMC全般を担当、2026年より日本自動車技術会CISPR分科会委員 |
お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL:045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com)
シリーズ「自動車のEMC規格」
第1回:UN-R144とUN-R10の関係を理解する ~eCall(AECS)認可におけるEMCの重要性~





