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UNECE R10.07 Draft変更ポイント特集 | 第2回 : 判定基準(REESS)や試験モード(AVAS、ADS、e-Call)の変更ー機能安全(ISO 26262)の追加

Posted by TUV Rheinland Japan on 2023/11/21 15:00:07
TUV Rheinland Japan

このブログでは、自動車のEMC法規、UNECE R10.07 Draft (UN-R10) 改定ポイント特集として、車両エンジニア、設計者の皆様に押さえていただきたいポイントを3回にわたって掲載します。今回2回目は、車両エンジニア、設計者が押さえておきたい変更ポイント 「判定基準や試験モードの変更」に関して掲載します。

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1. 機能安全(ISO 26262)の追加
UN-R10は法規なので、車両が電磁界環境下に暴露された際でも、安全な状態を保持することを証明することが非常に重要です。
今回、適用範囲に「機能安全(例えばISO 26262)において考慮すべき外部環境の一つに対応するもの」という文言が追加されています。
Level 3の自動運転の法規を代表とする数多くの法規が機能安全や安全コンセプトの実証を要求しており、認証機関にはその監査が要求されています。
これらの法規の機能安全の分析はISO 26262の使用を義務付けはしていませんが、電磁環境下での機能安全の外部要因としての安全性の証明に使用できます。

2. 試験モードの追加 
車両の試験ModeにAcoustic Vehicle Alerting System (AVAS), Automated Driving System (ADS), Emergency Calling System (e-Call) が追加されました。

AVAS : 作動させて試験、機能停止はNG
ADS : 作動シナリオを考慮し試験、正しく機能すること
e-Call : 作動させて試験であるが、ただし具体的な試験方法や、判定基準は決まっていません

今後AVAS, ADS,  e-Callに関連するシステム、部品を開発する際には、法規動向を追う必要があります。

3. 引用規格の最新化
R10では数多くの規格を参照していますが、旧版を参照している場合が多くあります、今回の改定で最新化が図られる可能性がありますが、この場合、従来の試験セットアップ、手順から変更する必要があるため、各試験手順で詳細を確認する必要があります。

4. REESS充電時の判断基準
ESA認可において、Rechargeable energy storage system  (REESS)充電時の判定基準が、 過電流、過電圧を代表とする誤った充電状態に加え、電磁界暴露後に充電機能の回復を求められています(ON/OFF操作は認められる)。
同時にREESSをESA認可対象から充電モードによっては除外する協議も続いており、引き続き法規Draft同行を追ってまいります。

テュフ ラインランドは、国連法規WP29の衝突安全や自動運転に関する最新の法規動向や議論の内容を常に把握するよう努めています。モビリティ技術開発センター(MTC)では、UN-R10 のみでなく、車両全体の法規に熟知している認証官が常駐しており、R10以外の車両法規や、ISO 26262機能安全を含む車両の安全性を考慮した適切な試験プランをご提案することが可能です。

また、現行法規だけでなく、Draftの法規でも先取りして試験を行い、R10.07発行次第、申請することも対応します。特に、今後を長期に製造が決定している製品等は、今後の法規変更の影響をそのモデルライフ中に受けるため、先行して実施することをお勧めします。ぜひ、ご相談ください。

UNECE R10.07 Draft 変更ポイントに関するオンデマンドセミナーを 12月より配信します。

オンデマンドセミナー、モビリティ技術開発センター(MTC)詳細はこちら

TUV-Rheinland-JP-Matsuura-Image-JA 松浦 計一(まつうら けいいち)
テュフ ラインランド ジャパン株式会社
モビリティ事業部 セクションマネージャー
2004年より型式認証の審査業務に従事。車両認証および部品認証に携わり、EMC関連法規の試験プラン、判定基準を立案。
またサイバーセキュリティ、ソフトウェアアップデート認証も担当
2017年よりテュフ ラインランド ジャパンで型式認証を担当
テュフ ラインランド グローバルのエキスパートグループメンバー

国連法規R10 : UNECE Regulation No. 10ECE R10)とは 
UNECE Regulation No. 10(ECE R10)は、 車両等の相互承認に関する国際的な「1958 年協定」に基づいて国際連合が発行したEMC国際法規です。路上で使用される車両、および車両へ取り付けが意図されたコンポーネント、セパレート・テクニカル・ユニット(STU)が、法規の対象範囲です。R10 は、多くの国際規格、エミッション規格「CISPR規格」、イミュニティ規格「ISO規格」を参照しております。

本ブログはDraftの法規を元に作成しておりますので、今後変更される可能性があります。発行された法規を確認ください。
お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com


シリーズ UNECE R10.07 Draft変更ポイント特集
第1回 : 放射イミュニティ試験の周波数拡大、放射エミッション測定にてFFT使用可、 Reverbration法の追加
第2回 : 判定基準(REESS)や試験モード(AVAS、ADS、e-Call)の変更ー機能安全(ISO 26262)の追加


 

Topics: 自動車, EMC Testing