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導入時期と注意点、追加試験モード(ADS, AECS, AVAS)、ESA 伝導イミュニティ試験の判定基準 | UNECE R10.07 Draft変更ポイント特集 第3回

Posted by TUV Rheinland Japan on 2025/03/18 13:38:17
TUV Rheinland Japan

 

このブログでは、自動車のEMC法規、UNECE R10.07 Draft(UN-R10) 改定ポイント特集として、車両エンジニア、設計者の皆様に押さえていただきたいポイントを3回にわたって掲載します。今回3回目は、車両エンジニア、設計者が押さえておきたい変更ポイント 「導入時期と注意点、追加試験モード(ADS, AECS, AVAS)、ESA 伝導イミュニティ試験の判定基準UN-R10.07採択後の注意点」に関して掲載します。

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WP29 194会議が2024年11月に開催され、UN-R10.07が採択されました。
法規は2025年5月頃に施行されます。

1.導入時期
法規の導入時期は次のとおりです。
2029年9月1日以降の新規申請はR10.07対応が必要です。
2029年9月1日以前に取得した認可は、07で変更された要求事項に影響を受けない場合、引き続き受け入れます。したがって、(ブログNo.1のポイント1.で説明したように、イミュニティ試験周波数拡大対応のため)イミュニティ関連機能があった場合は、07にする必要があると考えます。また、R10.07施行以降に新規にR10を批准した国は、06以前の認可を受け入れる必要がない、とありますので要注意です。

 

2029年9月前はR10.07の申請が増え試験所が混雑すること、また、期限に向けて申請が増えるため、認可当局の認可処理が遅れるリスクがあります。2029年以降に上市する予定の製品が新規申請の場合は、特段の理由がない限りR10.07で試験を実施してください。認可済み製品の場合は、拡大申請やCOP試験をする機会に、R10.07で試験実施した上で、早めにR10.07に拡大申請をすることをお勧めします。

2.追加試験モードが確定
Automated Driving System (ADS):
試験モード:Operational状態
判定基準:
ADS が故障セーフモードまたは故障が予期される故障動作モードになった場合NG


Accident Emergency call System (AECS, eCall):
試験モード:通常待機状態
判定基準:
イミュニティ試験中:
意図せず通報しないこと、diagnostic trouble code (DTC)が出ないこと。
イミュニティ試験前後:
手動で通報、MSD送付、音声通話品質、タイムスタンプ60秒以下、位置情報150m以下、VIN送付。


Acoustic Vehicle Alerting System (AVAS):
試験モード:Operational状態 (警報状態)
判定基準:
警報が止まる、エラー表示でNG

部品認可試験の際は、車両の試験状態/判定基準に準拠して試験プランを作成する場合が多く、今後これらの機能を有する製品のR10認可試験があった場合には、試験モードや判定基準に関して考慮する必要があります。

3.ESA 1) 伝導イミュニティ試験の判定基準が変更
06までの伝導イミュニティの判定基準は、イミュニティ関連機能の有無によってきめられていますが、最近のESAは複数の機能(イミュニティ関連機能有/無)を有する製品が多く実態と合ってない状況でした。Pulse 1から3は、ISO 7637-2:2011版に更新され、判定基準がFunctional Performance Status Classification (FPSC:機能性能状態分類)に変更されました。これによって、色々な機能に対して個々に判定基準を持つことが可能になりました。

Note:
1)    ESA: electrical/electronic sub-assembly (ESA) の略で、電気/電子サブアセンブリは、車両の一部となることを意図した電気および/または電子装置、または装置一式をいい、関連する電気接続および配線とともに、1つ以上の特殊な機能を果たすものをいう。ESAは、製造者またはその認定代理人の要請により、「コンポーネント」または「個別技術単位(STU)」として承認可能 

テュフ ラインランドは、国連法規WP 29の衝突安全や自動運転を含む最新の法規動向や議論の内容を常に把握するよう努めています。モビリティ技術開発センター(MTC)では、R10 のみでなく、車両全体の法規に熟知している認証官が常駐しており、R10以外の車両法規や、車両の安全性を考慮した適切な試験プランをご提案することが可能です。

R10以外の車両法規や、ISO 26262機能安全を含む車両の安全性を考慮した適切な試験プランをご提案することが可能です。ぜひ、お問い合わせください。

モビリティ技術開発センター(MTC)詳細はこちら

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松浦 計一(まつうら けいいち)
テュフ ラインランド ジャパン株式会社
モビリティ事業部 セクションマネージャー
2004年より型式認証の審査業務に従事。車両認証および部品認証に携わり、EMC関連法規の試験プラン、判定基準を立案。
またサイバーセキュリティ、ソフトウェアアップデート認証も担当
2017年よりテュフ ラインランド ジャパンで型式認証を担当
テュフ ラインランド グローバルのエキスパートグループメンバー

国連法規R10 : UNECE Regulation No. 10ECE R10)とは 
UNECE Regulation No. 10(ECE R10)は、 車両等の相互承認に関する国際的な「1958 年協定」に基づいて国際連合が発行したEMC国際法規です。路上で使用される車両、および車両へ取り付けが意図されたコンポーネント、セパレート・テクニカル・ユニット(STU)が、法規の対象範囲です。R10 は、多くの国際規格、エミッション規格「CISPR規格」、イミュニティ規格「ISO規格」を参照しております。

本ブログはDraftの法規を元に作成しておりますので、今後変更される可能性があります。発行された法規を確認ください。
お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com


シリーズ UNECE R10.07 Draft変更ポイント特集
第1回 : 放射イミュニティ試験の周波数拡大、放射エミッション測定にてFFT使用可、 Reverbration法の追加
第2回 : 判定基準(REESS)や試験モード(AVAS、ADS、e-Call)の変更ー機能安全(ISO 26262)の追加
第3回 : 導入時期と注意点、追加試験モード(ADS, AECS, AVAS)、ESA 伝導イミュニティ試験の判定基準


更新日:3/18/2025

Topics: 自動車, EMC Testing