テュフ ラインランド ジャパンは、テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)という安全資格認証制度を2002年から導入しています。この制度は、安全エンジニアの教育・育成、安全設計に必要な知識の伝授、それらの安全技術の普及をとおして事故の低減および事業効率化をサポートすることを目的としています。今回は、2003年にテュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)資格を取得し、現在、新技術の研究開発、および製品安全、製品環境マネジメントのアドバイザーなどを務める、シチズンマシナリー株式会社 開発本部 開発企画部部長 中谷尊一様にインタビューしました。中谷様は機械安全のプロフェッショナルとして、社内外で広範囲に活躍されています。テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)トレーニングで学んだ「法律や規格の各項目が作られた意図を理解すること」が、機械の安全を考える道しるべとなったことなど、当時の様子もお話いただきました。
シチズンマシナリー株式会社 中谷 尊一 様
― ― ― 現在どのような業務を担当されていますか。
シチズンマシナリー株式会社で、新技術の研究開発、および製品に関わる安全、環境マネジメントについて、アドバイザー的な役割を担っています。また、ISO 23125 やISO 14955などの工作機械の安全や環境に関するISOの活動にも参加し、内容の審議やJIS化に関わっています。
― ― ― テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)はどのようなきっかけで取得されましたか。
1995年のCEマーキング(機械指令)の開始以来、安全に関わる設計業務に携わり、テュフ ラインランドによる機械安全審査にもトライしていました。そして、当時はまだ国内には無かった機械安全に関する資格制度(テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)。当時の名称はTAEIT)が2002年にでき、自然な流れで取得しました。
― ― ― テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)トレーニング、また試験はいかがでしたか。
機械の安全に関わる実務経験を7年間積んできていましたので、一定レベルの知識を保有していました。ただ、テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)では、ざっくりとした感覚や知識ではなく、法律や規格に裏付けされた正しい知識・理解が必要なので、トレーニング中も、宿泊先のホテルでの復習・予習は欠かせませんでした。特に試験前夜は、学生に戻ったように久しぶりに集中して勉強しました。口頭試験※では、試験官から難しい質問もありましたが、充実したものでした。※現在口頭試験はありません(編集部)
― ― ― テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)資格取得前と後で、機械安全に対する考え方に変化はありましたか。
「機械の安全」と一言で言われますが、この判断基準は人によって千差万別で、会社内でもその安全レベルに関する見解は常に分かれます。ここが安全に関わる人の苦労のポイントで、使いづらくするような過剰な安全設計をせず、かつ確実な安全を維持するという難しい仕事に向き合わなくてはなりません。この時、その道のプロである認証機関から取得したテュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)という資格により、自分の判断から迷いが消え、また社内での信頼も得ることができました。
機械安全に関する考え方は変わりませんでしたが、テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)取得のトレーニングを受け、法律や規格に書かれている文面をそのまま鵜呑みに捉えるのではなく、その法律や規格の各項目が作られた意図を理解することが重要であるということを教えていただきました。これは、自分にとって、テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)をとおして学んだ一番勉強になったことかもしれません。このことにより、規格は面倒なものという意識は消え、考え方の道しるべとしてよりポジティブに読むことができるようになりました。
テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)資格を取得されたエンジニアの方々は、包括的な機械・電気安全のエキスパートとして、また個別装置の安全設計やシステムインテグレータ・製品安全審査等の分野でその知識を活かしています。
― ― ―テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)トレーニングで得た知識、またテュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)資格をどのように活用されていますか。
当初は、社内では製品の安全設計基準作成や製品安全審査、安全に関する顧客との情報交換などに生かしてきました。後進も育ってきた現在は、それらはお任せし、特に欧州顧客からの安全仕様に関する要望や指摘などに対応することが主となっています。この時に役に立つのが、テュフ ラインランドの海外における知名度と信頼度の高さです。テュフ ラインランドからテュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)という安全アドバイザー資格を得ているという証明の提示により、欧州はじめ海外の方々に、私の発言に信頼を寄せていただくことができます。また、そのような資格者が社内で製品安全活動を進めていることで、会社も同様に信頼を得ることができているようです。後進にも資格取得を進めているのは、この点が大きいかもしれません。
一方、社外では、工作機械の安全に関するISO規格の作成や審議への参画、これらISOのJIS化への参画など、規格を使うだけではなく、作る側にも活動範囲が広がりました。
― ― ―テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)の情報交換会が年に2回開催されています。情報交換会の内容・グループディスカッションは、日頃の活動に役立っていますか?
作成中の規格など最新情報を入手できるので、あらかじめ規格への対応を進めることができるなど、とても役に立っています。また活発に活動されている参加者の方々が直面している課題にも触れることができ、経験値の向上にも役立っていると思います。
― ― ― これからテュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)トレーニングへ参加する方へメッセージをお願いします。
トレーニングと試験は今でも簡単ではないと聞いていますので、しっかり取り組む必要があります。トレーニングに参加され、試験に合格された方々は皆、機械安全のプロフェッショナルとして、自社業務に、そして規格の作成にと広範囲に活躍されています。
機械を開発し販売していく中で、会社は安全という課題から逃げることはできません。機械安全のプロフェッショナルとして、事故の撲滅と合わせ会社をリスクから守るという責任、気概の元、ぜひ試験に挑戦し合格していただければと思います。違った視点でも、ものごとを見られるようになり、JIS規格から国際規格へ意識も変わりますので、視野が世界に向きます。仕事の幅と視野は大きく広がりますよ。
中谷様、本日はお時間をいただきありがとうございました。
(オンラインでインタビューを実施しました)
<参考リンク – テュフ ラインランド ジャパン 公式Blog>
- 現場での活用と最強のネットワーク構築の礎【テュフ機械安全アドバイザーインタビュー2024】
- 産業用装置の安全規格適合をスムーズに【テュフ機械安全アドバイザー情報交換会2023】
- テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)資格保持者として、製品の安全性を厳しく審査。安全設計の教育にも尽力【テュフ機械安全アドバイザーインタビュー2022】
- 国際的なTAA資格の提示により、欧州はじめ海外の方々からも高い信頼を【テュフ機械安全アドバイザーインタビュー2022】
- ロールプレイをとおして第三者視点での審査を経験 - テュフ機械安全アドバイザー(旧:TAA)コース開催2021
お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com)
更新日 : 5/24/2022
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