etooth Updatesでは、Bluetoothに関する情報を専門家がわかりやすく紹介します。今回はBluetooth SIG 認証プロセスのアップデートについて解説します。
Bluetooth SIG 認証プロセスのアップデートについて
Bluetooth SIG は認証プロセスのガイドラインQPRD (Qualification Program Reference Document) を現行のVersion 2.3 からVersion 3にアップデートすることを発表し、ドラフトを公開しました。
Updates to the Bluetooth Qualification Process
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アップデートの主な目的は、現行の複雑な認証プロセスを簡易化することです。現在、以下のトピックについて準備が進められています。
- 新しい認証プロセスに沿ったLaunch Studioのアップデート
- QPRD v3の内容を含むCore Spec のアップデート
- 新しい認証プロセスで変更される用語に対応したドキュメントのアップデート
- メンバーへのトレーニングとサポート用資料・動画
新プロセスの適用時期は2024年夏頃の予定です。
新しい認証プロセスの施行について
Bluetooth SIG は施行に向けてアクションを3つのフェーズに分けて計画しています。
フェーズ1:現在(2024年2月21日~)
QPRD v3のドラフトのリリース。フェーズ2に向けて、Launch Studioのアップデート、メンバーへトレーニング用資料・ツールの作成、新しいウェブサイトの準備をします。
フェーズ2:2024年4月3日
Bluetooth SIGはフェーズ1で作成したツールや資料を認証コンサルタント(BQC)や認定ラボ(BQTF)に公開します。テュフラインランドジャパンはBluetooth SIGのBQRB (Bluetooth Qualification Review Board), BTIC (Bluetooth Test and Interoperability Committee) とデバッグ作業に参加し最新進捗情報を共有します。
フェーズ3:2024年7月1日
新しい認証プロセスに関連するツールと資料をすべてのメンバーに公開しQPRD v3の正式リリースをします。
テュフ ラインランド ジャパンは新しい認証プロセスの内容について、セミナーや関連資料をウェブサイトに掲載予定です。セミナーの日時につきましては、後日ウェブサイト等でアナウンスします。ご興味のある方は、以下のカスタマーサービスにお問い合わせください。
お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com)
QPRD v3(Qualification Program Reference Document) について
メンバーは以下のステップで認証プロセスを実施します。
新しい認証プロセスは大筋で現在のルールがベースになっていますが、Bluetooth SIGが認証プロセスの合否判定をする審査ステップが追加されました。審査は申請内容により1~5営業日で完了します。
またプロファイルを含む複数の認証済デザインを参照した登録申請では接続品質の確認のためIOPT試験が要求されます。
QPRD v2.3 => v3 で ① 変更される点 と② 継続される点 について以下まとめました。
① 追加・変更される点
- 設計認証の製品分類の名称変更
現行 (QPRD v2.3) 新プロセス (QPRD v3) Controller Subsystem A Core-Controller configuration Host Subsystem A Core-Host configuration End Product A Core-Complete configuration Profile Subsystem X2Core Layer(s) Component Product Core Layer(s) or X2Core Layer(s)
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メンバーの登録申請をBluetooth SIG が審査をして合否(Pass/Reject)を判定
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QDID(認証ID)の名称はDN (Design Number)に変更。(認証済QDID はDNとして使用可能)
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Component Productの製品分類の消滅により有効期限が廃止、3年以上経過したデザイン(QDID)も認証プロセスに使用可能。(追加試験の可能性有り)
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DN (Design Number)、或いはQDIDを持つ認証済デザインを参照した製品登録時にX2Core Layer(Profile Subsystem)が含まれる場合はIOPT試験が必要
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認証する新しいデザインを他の会社のメンバーや同じ会社の他のユーザーに使用許可を与えるかどうかの設定機能追加
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Subset ルール変更:登録申請するメンバーが認証したデザインのみが含まれる場合はSubset作成可能、作成したSubsetにはDN (Design Number) が付与され他のメンバーも参照可能。登録申請するメンバー以外が認証したデザイン(DN, QDID)が含まれる場合はSubset作成不可
② 継続される点
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販売ブランドオーナーが登録料を支払い製品登録実施
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メンバーシップレベルに応じた登録料(Declaration ID費用)
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Compliance Folderの作成と保管義務
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Consistency Check, Test Plan, Test Declaration, TCRL
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認証試験の要求事項 (BQTF必須項目, Member Defined)
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廃止スペック (Deprecation, Withdrawal) – 廃止該当Layerを使用しない場合は削除可能
QPRD v3の施行前に登録した製品に影響はありません。引き続きBluetooth SIGの登録済製品データベースのリストに表示されます。
製品登録はこれまでメンバーのウェブ操作だけで申請が完了出来ましたが、新しい認証プロセスではBluetooth SIGが最終審査をして合否判定をします。認証プロセスを正しく適用できていない申請は拒否され指摘事項を修正するまで登録が認められません。今後の認証会社の選定は認証プロセスを正しく理解している認証コンサルタント(BQC)が在籍する認定Lab(BQTF)かどうかが重要なポイントになります。
テュフ ラインランド ジャパンにはBluetooth SIG から正式に認定を受けた「認証コンサルタント(BQC:Bluetooth Qualification Consultant)」が在籍しています。Bluetooth SIG の認証責任者は、認証コンサルタントに対し定期的にオンライン会議を開催し、認証プロセスの教育とアップデートを行っています。テュフ ラインランド ジャパンは2017年BQC制度へ移行した当初より、このオンライン会議に参加している日本で唯一の認証機関です。
※ 弊社のBQCは新認証プロセス(QPRD v3) の認定コンサルタント試験に合格しています。
お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com)
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更新日 : 5/27/2024