Bluetoothに関する情報を専門家がわかりやすく紹介するBluetooth Updatesがスタートします。Bluetooth が提供する最新技術を日本語でわかりやすく解説することはもちろん、試験についても詳しく紹介していきます。
従来のClassic Audioを刷新する新しいオーディオ規格「LE Audio」は、高品質で低消費電力のコーデック(LC3:Low Complexity Communications Codec) の採用、独立した複数のオーディオストリームの同期配信、補聴器などの聴覚補助ツールのための機能など、さまざまな新機能が追加されています。中でも注目すべき機能に、1つのスマートフォン等の音声端末(オーディオソース)から無制限の数のワイヤレスイヤフォン(オーディオシンク)等に音声を送信する、Broadcast Audio(Audio Sharing)があります。この機能はさまざまな場面でこれまでになかった音声配信サービスを可能にします。
LE Audioサポートのチップが認証され、ここまで策定中であった上位Profileの規格化も最終段階に入り、ついに近日中にLE Audioとしての製品認証の手続きが開始される見込みとなりました。Bluetooth SIGはこれを2022年6月8日に公式発表しました。
Bluetooth SIGは同時にこのBroadcast Audioの機能をブランド化したことを発表し、新しいブランド名とロゴが公開されました。新しいブランド名は「AURACAST(オーラキャスト)」で、これまでのBluetoothマークと同じ青色を使った「A」を連想させる三角の新しいロゴとともに商標登録されました。
Auracastをサポートする製品は、BluetoothロゴとAuracastロゴを併用することができます。シンクデバイス側では従来のBluetoothと新しいAuracastの設定機能が個別に追加される予定です。Broadcast Audioが複数検知された場合は、Wi-Fiのネットワークを選択するよう簡単に、またはQRコードの読み取りで、ボタンをクリックして接続など直感的な操作で接続が可能です。
AURACASTの仕組み
Auracast Broadcast Audioは上位profileであるPublic Broadcast Profile(PBP)で指定された定義で構成されています。トランスミッター(Broadcast Source)からのアドバタイズメントをアシスタント(Broadcast Assistant)が検知し、参加するBroadcast Audioが選択されると、ペアリングされているレシーバー(Broadcast Sink)に参加するために必要な情報を提供します。参加できると、レシーバーはトランスミッターの音声ストリームを直接受信するという仕組みです。レシーバーはトランスミッターとペアリングする必要がないため、理論上は無制限のレシーバーへの同時配信が可能となります。
アドバタイズメントにはAuracastの存在と名前、コンテンツやコーデック構成が含まれます。例えば、複数のBroadcast Audioが検知された場合はアシスタントのユーザーインターフェイス(UI)などで参加するBroadcast Audioを選択する必要がでてきますが、レシーバーもトランスミッターの情報を検知できるので、直接イヤフォンなどからBroadcast Audioに参加する操作ができるよう検討されています。
[引用: Bluetooth.com]
https://www.bluetooth.com/ja-jp/auracast/how-it-works/
公共施設での使用例
Auracastの仕組みは多くの公共施設で有効に利用できます。現在のスマートフォンのように、出かける際はAuracast対応のイヤフォンや聴覚デバイスは必需品になります。
- サイレントスクリーン 空港や待合室、トレーニングジムなどの無音テレビ画面を提供する公共の場所では、Auracast対応のイヤフォンや補聴器を利用してテレビから流れる音声を受信することで、より満足度の高い視聴体験ができます。
- ツアーシステム 博物館、コンベンションセンター、観光地などツアーが提供される公共の場所では、トランスミッターが必要な情報を配信することで、Auracast対応のイヤフォンや補聴器を使用する参加者により魅力的なツアー体験を提供できます。
- 多言語対応 会議室やミーティングセンター、講演会場などAuracastによる同時通訳サービスに対応した公共の場では、Auracast対応のイヤフォンや聴覚デバイスのユーザーは希望の言語で音声を聴くことができます。
- 聴覚補助 空港、映画館、会議場、礼拝堂などのパブリックアドレス(PA)システムを導入している公共の場では、来場者が自分のAuracastデバイスを使ってPA音声を直接受信できるようになり、LE Audioの高品質なオーディオ体験が得られます。Auracast放送音声はこのように、聴覚障害の有無に関わらず、高品質で低コストの新しい補聴システム(ALS)として、大小規模の会場の来場者の音声体験を向上することができます。
[引用: Bluetooth.com]
https://www.bluetooth.com/ja-jp/auracast/public-locations/
LE Audio試験の取り組みについて
テュフ ラインランド ジャパンはProfile / Protocol試験を正式にBluetooth SIGより認可された国内唯一のBQTF (Bluetooth Qualification Test Facility) です。
テストシステムはBluetooth SIGよりリリースされているProfile Tuning Suite (PTS)を使用します。
LE Audioに関する試験可能なProtocol・Serviceは下記の通りです。
【Profile Tuning Suite Version. 8.2.2より】
- BAP (Basic Audio Profile)
- PACS (Published Audio Capability Service)
- BASS (Broadcast Audio Scan Service)
- MCP (Media Control Profile)
- MCS (Media Control Service)
- CCP (Call Control Profile)
- TBS (Telephone Bearer Service)
- CSIP (Coordinated Set Identification Profile)
- CSIS (Coordinated Set Identification Service)
- MICP (Microphone Control Profile)
- MICS (Microphone Control Service)
- VCP (Volume Control Profile)
- VCS (Volume Control Service)
- VOCS (Volume Offset Control Service)
- AICS (Audio Input Control Service)
お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com)
< Bluetooth Updates>
Bluetooth Updatesでは、Bluetoothに関する情報を専門家がわかりやすく紹介しています。
Bluetooth が提供する最新技術を日本語でわかりやすく解説することはもちろん、試験についても詳しく紹介しています。
- Bluetooth SIG 認証プロセス遵守について
- 新しいBluetooth SIG オーディオ規格 「 LE Audio 」 リリース
- スペック(技術仕様)廃止について
- Compliance Folder (コンプライアンス・フォルダ) について
更新日 : 11/14/2022