tuv-jp-blog-banner

AWS (Alliance for Water Stewardship) GHG排出により重大な局面を迎える水リスク

Posted by TUV Rheinland Japan on 2022/07/25 16:27:10
TUV Rheinland Japan

今日、気候が大きく変化していることに人々は気づいています。気候の変化により 、多くの場所で長期間の高温現象が続いています。その暑さは、予想をはるかに超え、多くの熱中症を引き起こしています。

TUV-Rheinland-JP-AWS-Image-JA

昔は季節の移り変わりが心地よく、楽しいものでした。例えば、暑い夏にはにわか雨が降って暑さを和らげ、春や秋には緑や葉が色づく時期が長かったのですが、徐々に短くなってきているように感じます。また、雨といえば、特定の地域で線状降水帯のような集中豪雨が発生し、住民に大きな被害を与えたり、社会活動に影響を与えたりすることが増えました。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。それは、地球温暖化の原因であるGHG(Green House Gas)、つまり温室効果ガスの排出が深く関係しています。

例えば、地球の平均気温が上がると海や地面から蒸発する水分が多くなります。具体的には、気温が1度上がると水蒸気の量が約7%増えると言われています。水蒸気の量が増えると雨による降水量も増え、大雨の発生が多くなります。 このように、地球温暖化は異常気象の原因のひとつと考えられています。

GHGには、二酸化炭素、メタン、クロロフルオロカーボンなどがあり、特に二酸化炭素は地球温暖化に大きな影響を与えるとされています。二酸化炭素は、人為的な温室効果ガス排出量の75%以上を占め、学術的な分析では最も大きな割合として報告されています。では、どうすれば防げるのでしょうか。パリ条約で示されたように、18世紀の産業革命以前の温度の1.5℃の上昇に抑えることで、最低限の環境維持ができると報告されています。このような背景から二酸化炭素排出の低減については、日常生活の中でも移動手段の見直しや節電を意識することが多くなってきています。

日常生活で移動手段の見直しや節電を意識する一方で、水の使用もまた地球温暖化と密接に関係しています。そこで、さらに水についても考えてみたいと思います。水を使うとき、水をきれいにする浄水場、汚れた水を浄化する下水処理場、家庭や学校などさまざまな場所に水を届けるポンプなど、さまざまな場所でエネルギーが使われ、CO2が発生します。また、お湯を沸かすときには、さらに多くのエネルギーが使われます。私たちが使う水は多くのエネルギーを使って多くの二酸化炭素を排出しているのです。ではどうしたら私たちが使う水に伴うエネルギーの消費を抑えることができるのでしょうか?

それには様々な考え方がありますが、先ずは水を出来るだけ汚さないということです。例えば家庭排水の汚れが増すと、下水処理場で処理後に放流する水質基準を満たすため、それまで以上に水の浄化に多くのエネルギーを使うことになります。次に節水です。常に使用する水の量を必要最低限に留めることです。水の使用量が増えると上水道処理施設に負荷がかかり、そこでも今まで以上に水の浄化にエネルギーを使うことになるためです。このアプローチは消費者だけでなく生産者にも適用されます。一般に、化学薬品を使う工場はその洗浄に沢山の水を使う傾向があります。その中でも、環境にできるだけ悪影響を与えない薬品へ代替していくことで、結果的に節水が可能となります。

今回は、私達を取り巻く水環境の変化について、その原因がGHGであること、そしてそのGHGが増加する主な原因と解決法について、二酸化炭素と水を取り上げて考えてみました。安全で衛生的な私達の住む環境を自分たちで守っていくためにも、できるところから始めてみましょう。

このコラムの最後に、こうした水のリスクと予防にアプローチする「Alliance for Water Stewardship(AWS)スタンダード」を紹介したいと思います。この規格では、「水の利用が、社会的・文化的に公平で、環境的に持続可能で、経済的に有益であり、現場や集水域での活動を含むステークホルダーを含むプロセスを通じて達成されること」と定義されるウォーター・スチュワードシップを推進することを目的としています。規格に示される、より詳細な要求事項は、これらのトピックやアジェンダにアプローチする上で有用度が高いと思われます。

注:ここに記載されている内容は著者の意見であり、Alliance for Water Stewardship(AWS)を代表して発表されたものではありません。著者はAWSプロフェッショナル資格を持っており、この出版物は著者のContinuing Contribution Unitsの要件を満たすのに役立ちます。AWSまたはAWSプロフェッショナル・クレデンシャル・プログラムの詳細については、https://a4ws.org/をご覧下さい。

 

TUV-Rheinland-JP-Arie-Image-JP

 

 有江 博之(ありえ ひろゆき)

テュフラインランド ジャパン株式会社 システム部 事業部長、AWS審査員

エンジニアとして長年の食品及び飲料業界での経験を軸にISO認証サービス、プロジェクトマネジメント、サプライチェーン監査を専門に活動。

 

 

お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com



          【関連記事

Topics: マネジメントシステム, tuv.communication