私は、若い頃山にトレッキングに行き、四季折々の美しい葉の色や天然の澄み切った小川の水を見ました。人間として賢く生きるために学び研究しなければならないものを与えてくれる、このような自然の財産を決して破壊してはならないと考えました。ある日、2030年には世界人口の47%が水不足の脅威にさらされ、水ストレスの高い地域に住むことになるという国連の調査を見ました。これは、私がAWSのスペシャリストになり、この業界で長年培ってきた知識や技術を活かしたいと思った理由ですが、それだけではなく、この調査は2014年に世界のリーダーたちが水からあらゆる自然の恵みを守るためにAWSを設立したきっかけでもありました。
初めてAWSの審査で受審組織を訪れた際、地下水の流れを分析し、コンピュータマッピングで周辺の定義された範囲を可視化していることに驚かされました。水がどこから来て、どこへ消えていくのか。その流れを分析し、地下水がどのように形成されてきたのかを、時間をかけて分析しようとしていました。一般的に地下水は、地表水の落下から浸透して人間の飲み水になるまで20年かかると言われています。この組織は、安全でおいしい飲料水を製造するために最新の製造設備を備え、山の中で自然と共存するように活動していました。
この組織は良好で自然に友好的な活動をしていましたが、AWS規格では、ToC(Theory of Change)に基づいた水管理システムを構築することが求められているため、審査員の視点ではいくつかの観察点と改善の機会がありました。ToCは、AWS規格の策定と管理のためのステークホルダーとの対話から始まり、影響についてのAWSモニタリング、評価システムの設計と実行につながります。さらに、知識、学習、AWS規格の実施を促進するためのツールとしてコミュニケーションを生み出し、その結果、メンバーシップの拡大とブランド価値向上の機会を創出します。
審査が終わり、レビュープロセスを経てこの組織には最終的にAWS認証書が発行されました。認証書授与式で、組織の代表者が「これは水の安全な世界を作るための長い旅の始まりに過ぎない」と発言したことが印象に残っています。その言葉が、すべての経営陣とスタッフがその実現に向けてコミットしていることを証明していると感じたからです。
また、AWSのミッションステートメントには、「水の社会的、文化的、環境面、経済的価値を認識し、それを確保するために、信頼できるウオータースチュワードシップにおけるグローバルおよびローカルなリーダーシップを発揮させ、育成する」とあり、ビジョンステートメントには、「人々、文化、ビジネス、自然が今も将来も繁栄できる水の安全な世界を実現する」とあります。
時を経て、多くの地域や世界のリーダーが自然を守り、そのメカニズムを評価することによって可視化しようとしていますが、AWS規格はそれを実現するための良いツールであることは間違いありません。なぜなら、この規格の実施は、サイトとその定義された物理的範囲に対して、「適切な水資源ガバナンス」、「持続可能な水収支」、「適切な水質」、「水資源に関連する重要区域」、「すべての人の安全な水と衛生設備、衛生環境を提供(WASH)」という5つの主要な成果を達成することを目的としているからです。
注:ここに記載されている内容は著者の意見であり、Alliance for Water Stewardship(AWS)を代表して発表されたものではありません。著者はAWSプロフェッショナル資格を持っており、この出版物は著者のContinuing Contribution Unitsの要件を満たすのに役立ちます。AWSまたはAWSプロフェッショナル・クレデンシャル・プログラムの詳細については、https://a4ws.org/をご覧下さい。
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有江博之(ありえ ひろゆき) テュフラインランド ジャパン株式会社 システム部 事業部長・AWS審査員 エンジニアとして長年の食品及び飲料業界での経験を軸にISO認証サービス、プロジェクトマネジメント、サプライチェーン監査を専門に活動。
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お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com)
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【AWS公式ウェブサイト(英語)】https://a4ws.org/
更新日 : 6/2/2022