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包装におけるMOSHとMOAH - ドイツの分析サービス

Posted by TUV Rheinland Japan on 2023/02/15 11:04:16
TUV Rheinland Japan

食品へのミネラルオイルの混入の可能性は多岐にわたり、包装材の生産(原材料、保管、輸送)の全段階に及んでいます。ミネラルオイル飽和炭化水素類MOSH/ミネラルオイル芳香族炭化水素類MOAHの主な汚染源は、接着剤、再生紙、印刷インク、およびそれらから作られる包装材です。

欧州連合では現在、2つの方向でMOSH/MOAHの使用を規制する試みが行われています。フランスでは、「循環型経済と廃棄物対策」に関する法律LOI n° 2020-105を施行し、包装材への印刷にミネラルオイル系印刷インクの使用を禁止しています。これは、紙や段ボールのリサイクル過程で、MOSH/MOAH化合物が混入する可能性を減らすことを意図しています。

一方、再生包装材から食品へのMOSH/MOAHの移行を制限する計画もあります。このために、ドイツ商品条例の改正が計画されました。(これは当初、欧州食品安全期間(EFSA)のさらなる評価を待ってドイツ連邦参議院で否決されました。)


フランスの Arrêté du 13 avril 2022「拡大生産者責任に関連する各種適応規定」と包装・印刷インクのミネラルオイル禁止条件については、2022年7月掲載ブログ【包装や印刷に使用するミネラルオイルを禁止】をご参照ください 。ここでは、2023年1月1日に施行された同法の内容を詳しくご紹介しています。


フランス法制

ミネラルオイルの使用禁止によって影響を受ける物質は、以下の通りです。

  • 1~7個の芳香族環を有するミネラルオイル芳香族炭化水素類(MOAH)
  • 炭素数16~35のミネラルオイル飽和炭化水素類(MOSH)

2024年12月31日までは、印刷インクに含まれるMOAHの1%以上の使用禁止が適用されます。

2025年1月1日からは、ミネラルオイルの使用禁止が適用されます。

  • MOAHについては、印刷インク中の芳香環数3~7の化合物の質量濃度が0.1%以上、または1ppm(mg/kg)以上の場合
  • MOSHについては、印刷インク中の規制値は0.1%

影響を受ける物質

この法律は、紙と段ボールの包装に使用される印刷インクにのみ適用されます。その他の印刷包装、例えば印刷プラスチックフィルムやコーティングされた包装は、適用範囲に別途言及されていません。ただし、現行法は解釈の余地を残しています。

法文に基づき、取扱説明書(入手可能な実績により頻繁に搭載)、製品識別用のIDシール、封入情報、保証書も包装部品として、紙・段ボールの印刷物であれば、要求事項に適合する必要があります。輸出用カートンや外装カートンなど、お客様に配布されない商業用包装は2025年まで規制されません。

 

MOSHとMOAHの判定

2022 年 4 月 13 日の Arrêté の第 2 条に規定された要求事項の試験は、優先的に印刷インクに対して実施される必要があります。限界値は印刷インクに言及しているため、この測定結果のみが確実に評価が可能です。ただし、法令に基づき、印刷物も検査対象となります。


■■■■■ 包装用印刷インクの応用分野において、テュフ ラインランドでは以下の試験が可能です。■■■■■

2024年12月31日まで有効

サンプルサイズ10 g(テストレポートではMOSHの測定結果を追加でレポートします)
※費用についてはお問い合わせください。

2025年1月1日から有効

サンプルサイズ10 g
※費用についてはお問い合わせください。

 

印刷インクに関する試験

法規制への適合を報告・評価するためには、液体印刷インクを検査する必要があります。印刷機から印刷インクを入手できない場合は、印刷物を検査することも可能ですが、その結果は情報量が少なく、解釈の余地があるものです。

印刷インクが基本的にミネラルオイルを含まない場合でも、原材料の不純物や製造工程に由来する少量のMOSH/MOAHがインク中に存在する場合があります。例えば、メタリック効果のある印刷物には、ミネラルオイルを使って粉砕された粒子が含まれている場合があります。

 

印刷された紙・板・段ボールでの試験

紙、段ボール、カートンはリサイクル工程でMOSH/MOAHを含むことがあるため、印刷物に関する試験は評価と実施がより複雑です。これはフランスの法律で認められており、印刷された紙・段ボールで顕著な所見があった場合、さらなる分析が必要です。

ミネラルオイルは、紙や段ボールの中に分散する性質があり、例えば印刷層から基材に移行したり、逆に基材から印刷層に移行したりします。このことを念頭に置いて、印刷されていない紙や段ボールのサンプルを検査することは、必要なフォローアップ分析のために有用です。

さらに、乾燥インク層を調べる場合、ミネラルオイルのかなりの割合が乾燥工程で蒸発するため、液体インク中のMOSH/MOAH含有量について乾燥インクから直接的な結論を導き出すことはできないことに注意する必要があります。その結果得られた評価オプションの詳細については、次でご紹介します。

 

紙・板紙・段ボールの結果評価

印刷された紙、板紙の評価結果をできるだけ印刷インクに限定するため、印刷インクをできるだけ多く含み、紙・板紙をできるだけ含まない、薄い上層の印刷層のみを調査します。

 

実現可能性

印刷会社は、印刷インクの技術データシート(TDS)に基づき、印刷インクメーカーと協議して、許容される印刷インク(2022年4月13日のArrêtéの意味におけるMOSH/MOAHを含まない)を決定することができます。意図せずに混入した微量な鉱物油の情報を得ることは不可能です。

印刷インクのTDSや印刷インクメーカーの確認書など、当局からの問い合わせなどがある場合、使用した印刷インクの適合性を証明できるよう、可能であればこれらの書類を用意しておく必要があります。適合宣言は、ここでは必要ではありません。将来的には、EUの包装材規制の一部として、このような宣言が要求されることが明らかになりつつあります。

製造者・輸入者・販売者としての注意義務の一環として、特に文書が確実に入手できない場合や文書の信憑性に疑問がある場合は、使用した印刷インクや印刷物のランダムチェックを行う必要があります。

 

注)この記事は日本語の参考訳です。こちらの英語が原文です。疑問点等については原文を参照ください。

 

 

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更新日 : 2/15/2023

Topics: 国際規制情報, tuv.communication, 化学物質