テュフ ラインランド ジャパンの専門家が、サステナビリティ情報保証をわかりやすく解説するシリーズです。
今回は、早い段階で保証を交えた確認を始めることの利点を説明します。

「社内体制やデータ整備に万全を期してから、第三者保証を受けたい」。初めて保証を検討する企業にとって、これは自然な考え方です。しかし、すべてが完璧になってから保証を受けることは、必ずしも効率的とは限りません。
サステナビリティ情報の保証では、最終数値だけでなく、数値が作成され、確認され、開示に反映されるまでのプロセスも確認します。早い段階から初回保証を受け始めることで、自社だけでは気付きにくい課題を把握し、次年度以降の算定・開示体制を段階的に整えやすくなります。
保証を通じて、現在の体制が見えてくる
初めて保証を受ける場合、算定から開示までのプロセスが、最初から理想的な状態に整えられているとは限りません。保証を通じて、内部統制が十分に機能しているか、全社のルールが末端の拠点まで浸透しているか、ITシステムがカバーしていない盲点がないかといった課題や改善点が、第三者保証という目が入って明らかになる場合があります。
保証手続では、元データ、算定、集計、社内レビューおよび開示のつながりを確認し、必要に応じて質問や追加資料の依頼を行います。その過程で、明文化されずに行われていた作業や、担当者だけが把握していた処理を整理する機会が生まれます。
※ 実際の確認手続は、保証対象、適用される規準、保証水準、企業の状況およびリスク評価等によって異なります。
完璧になるまで待つことが、手戻りを増やすことも
「まだ準備が不十分だから」と保証の検討を先送りすると、制度対応が必要となる年度までに準備が間に合わなくなる可能性があります。
課題が見つかっても、すぐに解消できるとは限りません。算定ルールの改定、拠点への周知、データ収集方法やレビュー手続の見直しに、次の報告年度まで対応が続くこともあります。早い段階で保証を受け始め、判明した課題を翌年度以降の運用へ反映する方が、結果として効率的な場合があります。
図:保証準備、2つの進め方
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準備が整うまで待つ |
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早めに開始する |
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制度対応年度が迫ってから |
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余裕をもって |
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▼ |
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▼ |
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課題が判明した場合、限られた期間、集中した期間での対応が必要 |
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課題を早期に把握し、 |
小さな範囲から保証も可能
制度対応が必須となる前の任意の段階では、自社の目的と準備状況に応じて、現実的な範囲から始めることができます。例えば、すでに算定実績がある会社が多く、制度や外部評価との関係が深いGHG排出量を対象とし、スコープ(1・2のみ)、対象拠点(国内のみ)などを整理して開始することが考えられます。
初年度に確認された課題を踏まえて社内体制を見直し、翌年度以降に対象情報や対象拠点を広げる。こうした段階的な進め方により、一度に大きな体制変更を行うのではなく、実務に合わせて整備を進めやすくなります。
完璧を待たずに、現在地を確認する
保証への第一歩は、いきなり完璧な体制を完成させることではありません。まずは、現在の算定・集計・レビュー・開示がどのように行われているかを整理し、早めに第三者の視点から不足している点を確認し、より安定した算定・開示につなげていくことをおすすめします。
テュフ ラインランド ジャパンでは、Sustainability Report Assurance(SRA:サステナビリティレポート保証)サービスの提供を開始します。保証対象の設定、現在の算定・開示プロセス、制度対応に向けた準備時期など、サステナビリティ情報保証に関するご相談を受け付けています。
※ なお、保証業務実施者が結論を形成するためには、十分かつ適切な証拠が必要です。重要な誤りや証拠の不足が解消されなければ、希望する保証結果を得られない可能性があります。また、保証とアドバイザリーを同じ企業に提供できる範囲には、独立性の制約があるため、個別の確認が必要です。
執筆者

ピープル&ビジネス・アシュアランス事業部
カスタマイズソリューション部 サステナビリティエキスパート
松本 哲弥
米国公認会計士(ワシントン州 登録)
大手監査法人では、会計監査、サステナビリティレポート保証に従事
エネルギー、メーカー、鉱業、化学、建設、不動産、飲料などの業界へ、GHG、水、社会情報などの保証を提供
連載「今さら聞けないサステナビリティ情報保証」
第1回 | なぜサステナビリティレポート保証が必要なのか
第2回 | サステナビリティ保証はどこを見るのか「保証は、数値の再計算だけじゃない」
第3回 | 保証は早めに始めよう ← 今回はこちら
<参考リンク – テュフ ラインランド ジャパン ウェブサイト>
サステナビリティ・ESG保証
お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com)
更新日 : 10/14/2026


