テュフ ラインランド ジャパンの専門家が、サステナビリティ情報保証をわかりやすく解説する新連載です。
今回は、「なぜサステナビリティレポート保証が必要なのか」を三つの背景から説明します。

サステナビリティレポート保証は、企業が開示した情報に対して独立した第三者が検証し、保証報告書を通じて結論を示すものです。サステナビリティレポートは、企業による自己申告だけでなく、第三者が保証を加えることで、情報の信頼性が向上します。
保証が必要とされる三つの背景
第三者保証は、年々必要とされる場面が増えています。
| SSBJ |
時価総額の大きいプライム上場企業から順次義務化 |
| GX-ETS |
前年度までの直近3年度平均で、CO2直接排出量が10万tCO2以上の事業者確認が義務に |
| 海外規制 |
EU(CSRD、CBAM、バッテリー規則)、米国(California SB253)では、 |
| SBTi |
高所得国の非零細企業(カテゴリA企業)は、最低でも限定的保証の取得が義務に |
| CDP, Ecovadis |
・CDPでは、保証・検証の有無が、加点やAスコアの要件に |
1)制度対応
現時点で見通されているものとして、日本では、SSBJ基準に基づく開示と第三者保証を段階的に求める制度整備が進められています。また、2026年度に本格稼働する排出量取引制度(ETS)では、制度対象者が排出目標量や排出実績量を報告する際、国の登録を受けた確認機関による確認が必要です。この他、EUや米国カリフォルニア州の規制では、日本企業であっても現地売上や現地法人の規模によって対象となり、保証取得が求められる場合があります。
2)市場からの要請
投資や取引判断のための情報として、企業が開示するサステナビリティ情報は、投資家、金融市場、顧客、取引先、ESG評価など、さまざまな立場から利用されます。この中で、SBTiでは基準が改定され、高所得国の非零細企業(カテゴリA企業)は、保証取得が義務となる見込みです。さらに、CDPでは、保証・検証取得が加点となるほか、Aスコアを得るための条件とされています。
3)消費者からの注目
ヨーロッパだけでなく、アメリカでも、サステナビリティ情報への注目は高まっています。
イギリスの調査では、企業によるサステナビリティに関する主張が誤解を招くものだと判明した場合、消費者の54%がその企業の商品・サービスの購入をやめると回答しました。(※1)
アメリカを対象として2026年4月に実施された市場分析では、消費者の85%がブランドによるサステナビリティへの取り組みは重要と回答したほか、サステナビリティ関連商品はアメリカの日用品市場の売上の25.4%を占め、過去5年間の年平均成長率は10.9%に上りました。(※2)
消費者から信頼を得るためにも、環境に関する主張を客観的な証拠で裏付ける重要性が高まっています。
「任意の付加価値」から「信頼性の要件」へ
このように、保証はレポートに追加する任意のアピールだけではなく、法令・制度への対応や、社外へ示す情報の信頼性を支える仕組みとして重要性を増しています。ただし、求められる対応は企業によってさまざまです。必要な保証・検証事項は、企業規模、排出量、適用される制度、取引先からの要請、開示の目的などによって異なります。まずは、自社がどの制度や市場の要請に関係するのかを整理し、保証の対象や時期を検討することが重要です。
ぜひ一度、テュフ ラインランド ジャパンの専門家にご相談ください。
次回は「サステナビリティレポート保証とはどのようなものか 」をご説明します。
執筆者

ピープル&ビジネスアシュアランス事業部
カスタマイズソリューション部 サステナビリティエキスパート
松本 哲弥
米国公認会計士(ワシントン州 登録)
大手監査法人では、会計監査、サステナビリティレポート保証に従事
エネルギー、メーカー、鉱業、化学、建設、不動産、飲料などの業界へ、GHG、水、社会情報などの保証を提供
<参考リンク – テュフ ラインランド ジャパン ウェブサイト>
サステナビリティ・ESG保証
<参考リンク – 外部サイト>
※1:英国の調査:Over half of UK consumers prepared to boycott brands over misleading green claims
※2:アメリカの市況情報:Sustainability-Marketed Products Top 25% of U.S. CPG Market | Circana & NYU Stern
お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com)
更新日 : 8/14/2026


