国内には数多くの工業用水素電解装置メーカーが存在し、技術面、品質、信頼性などにおいて世界的に評価されており、自動車や電子機器、重工業などのあらゆる分野で活躍しています。
高品質で優れた装置が信頼ある装置として評価される理由は、厳格な検査により、安全性、性能、信頼性など一定の基準をみたしていることが確認されているためです。その確認は、テュフ ラインランドのような第三者機関による客観的な評価により可能です。本ブログでは、水素電解装置に必要な認証プロセス、安全性確保についてご紹介します。
水素電解装置の主な認証制度
水素電解装置が使用される多くの国や地域では、安全性を確認するための認証取得が必須です。一般的には、水素関連国際規格としてISO 22734*「家庭用および産業用の水素生成装置の安全性要件」があります。この規格に準拠することで、装置の安全性を確保できます。
また、使用される国や地域により、CEマーキングやUL認証などが必要です。
- EU:CEマーキング必須。その他特にPED(欧州圧力機器指令)やMD(機械指令)が関連する場合がある
- 北米:UL認証、CSA認証が必要なケースがある
- 日本:高圧ガス保安法に基づく認証が必要。JIS規格への準拠が必要な場合がある
水素エネルギー技術に関する規格としては、ISO 14687シリーズ(燃料電池自動車用水素の品質)などがあります。水素燃料電池車(FCV)に関連する装置では、このような規格に準拠する必要があります。
*ISO 22734:2019 - 工業用水電解装置(ISO22734-1)/住宅用水電解装置(ISO22734-2)
水電解を用いる水素発生器-第1部:産業、商業、住宅用途
Hydrogen generators using water electrolysis -- Industrial, commercial, and residential applications
安全性確認のために準拠すべき規格
電気機器の安全性に関する国際規格には、IEC 60079(爆発性雰囲気での電気機器の使用)などがあります。水素は可燃性ガスであるため、これらの規格に準拠することが求められる場合があります。
水素電解装置に関する規格は、IEC 62282(燃料電池技術)シリーズなどがあります。
水素電解装置の認証取得手順
水素電解装置の認証を取得するには、一般的に以下のような手順を踏みます。
Chapter 4:設計認証
1. 認証機関の選定:取得を目指す認証制度に対応する認証機関を選定します。
2. 申請書類の作成・提出:認証機関が定める申請書類を作成し、必要な資料とともに提出します。
リスクアセスメント(HAZOP & LOPA解析、SIL検証、HAZID解析、FMEA)
ISO 22734-1の設計要求事項(圧力容器、機械安全、防爆)
3. 審査の実施:認証機関による書類審査が実施されます。
4. 認証取得:審査に合格すると、適合報告書ならびに認証書が発行されます。
Chapter 5:型式認証
1. オンサイト監査を実施:電解槽の安全コンプライアンス現場検査・工場監査(試験計画監査、検査・試験工程立会)
2. ISO 22734要求事項に従って試験を実施します。(電気試験、機能試験、圧力試験、漏洩試験、始動電流試験、直流電圧試験などが含まれる。)
3. 認証取得:審査に合格すると、適合報告書ならびに認証書が発行されます。
認証によるメリット
水素電解装置の認証取得は、安全性・信頼性の確保、競争優位性の獲得、ブランドイメージの向上など、多くのメリットをもたらします。水素社会の実現に向けて、水素電解装置の普及がますます重要となる中で、認証取得は、企業にとって重要な戦略の一つと言えるでしょう。
お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com)
更新日 : 10/15/2024