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マイクロプラスチック規則(EU)2023/2055の解説ガイド|EU|国際規制情報

Posted by TUV Rheinland Japan on 2025/07/17 17:47:32
TUV Rheinland Japan

2023年10月、マイクロプラスチックの制限に関する規則(EU)2023/2055*1施行されました。


 

*1規則(EU)2023/2055 https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32023R2055

 

この規則が発表された後も、適用範囲や適用可能性に関する多くの疑問が未解決のままでした。そのため、欧州委員会は、さらなる説明と明確化を目的として、「解説ガイド*2を発表しました。

*2解説ガイドExplanatory Guide https://single-market-economy.ec.europa.eu/sectors/chemicals/reach/restrictions/commission-regulation-eu-20232055-restriction-microplastics-intentionally-added-products_en

 

欧州化学物質庁(ECHA)は、規制の適用に伴う現状のニーズに対応するため、解説ガイドの文書を継続的に更新していく予定です。この文書は、ECHAおよび加盟国と協議の上、欧州委員会の技術サービスが作成したものであり、必ずしも欧州委員会やすべての加盟国の見解を反映しているわけではありません。

このガイドは3つの部分で構成されています。

  1. 制限の規定および意図される運用についてわかりやすく説明した解説部分(Part I)
  2. EU諸国や関係者からの質問への回答をまとめた「質問と回答」(Part II)
  3. デシジョンツリーやボーダーライン事例などを掲載した附属書(Part III)

このガイドは現在、英語のみで提供されており、2025年第3四半期にはPart Iの全欧州公用語への翻訳が予定されています。Part IIおよびPart IIIの翻訳は、当面予定されていません。

 

■■■ EU域内で異なる解釈

ガイドラインによると、成形品の表面にある合成ポリマー微粒子(SPM)は、常に成形品の 不可欠な一部とみなされ、したがって制限の範囲外とされます。

しかし、オーストリア、ベルギー、ドイツ、オランダは、合成ポリマー微粒子(光輝材を含む)が 制限の範囲外とみなされるためには、成形品の表面に恒久的かつ強固に付着している必要があると考えています。この条件を満たす場合のみ、製品の不可欠な部分とみなされます。

 

■■■ ドイツでの実施

ドイツでは、連邦州が連邦原則に基づいて監督する責任を負っています。そのため、連邦州が制限の解釈や特定製品が制限の適用範囲に入るかどうかを判断します。欧州委員会のガイドラインには法的拘束力はありません。また、この評価や除去可能な光輝材の試験方法についての指示は提供されていません。

 

マイクロプラスチックに関するガイダンス

説明部分(Part I)は、Part IIの質問と回答(Q&A)およびこのガイドの附属書Part IIIと併せて参照してください。

PART I - 解説部分

本ガイダンス文書の解説部分では、「合成ポリマー微粒子」の規制や運用について簡潔に説明し、以下の内容が含まれています。

  1. 製品が規制の対象となるかどうかの判定方法
  2. 制限の対象となる物質やポリマーの定義
  3. ポリマーの分解性試験
  4. ポリマーの溶解性試験
  5. 上市禁止
  6. 上市禁止の適用除外
  7. 上市禁止の適用に関する分野別の経過措置
  8. 使用・廃棄に関する説明書(IFUD)を含む情報要件
  9. 推定排出量の報告
  10. 所轄官庁への情報提供
  11. 発効時点に既に上市されている製品に関する事項

 

PART II -質問と回答

規制の特定の条項(上市禁止、定義など)や製品(光輝材、化粧品など)に関する19のセクションで構成されています。

 

PART III - 付属文書

ステークホルダーがSPMを特定し、自身の義務を理解し、ボーダーライン事例を認識するための附属書が含まれています。

 

その他の側面

  • グリッター入りマニキュアは使用後に除去され、グリッターが放出されるため、適用除外 5c) は適用されません。
  • 最終使用時に固体マトリックスに恒久的に組み込まれるマイクロプラスチック(例:グリッターのり、グリッター入りジェルペンなど)は除外されます(例外5c)。
  • 企業は、製品が適用除外の条件を満たすことを証明する証拠を保管しなければなりませんが、その具体的内容は明記されていません。
  • 接着用グリッターパウダーや接着剤セットのグリッターパウダーは、目的がグリッターパウダーを固定することであるため、禁止の対象外です(例外5c、ガイドラインII参照)。
  • マイクロプラスチックが使用中に変化し、マイクロプラスチックでなくなる場合(例:オーブンで溶かして最終形状がマイクロプラスチックでなくなるモデリングコンパウンド)も除外対象となります。
  • 5mm未満の小さなプラスチック製品(ビーズや星型、紙吹雪など)は、混合物ではなく個々の製品とみなされます。
  • 例外5 a-c)を使用する場合は、使用・廃棄上の注意(IFUD)の添付が必要です。

 

対処のヒント

  • どの混合物や製品にマイクロプラスチックが含まれているかを確認してください。製品の分類については、さまざまな場所で解釈の余地があります。
  • 詳細は、欧州委員会、ECHA、ヘルプデスク、管轄当局、または弁護士にお問い合わせください。
  • 特に、個々の粒子が放出される光輝材が表面にある成形品が規制対象かどうかの判断については、注意が必要です。

 

参照リンク:European Commission - Explanatory Guide

 

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【ホワイトペーパー】サステナブルな企業を目指すため 有害化学物質の制限物質リスト

 

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更新日 : 7/17/2025

Topics: reach, 国際規制情報, tuv.communication, 化学物質, 製品安全, 有害物質規制, regulations-and-standards