みなさんは、「生分解性」という言葉でどのようなことを思い浮かべますか。おそらく多くの方は、プラスチック製品、例えば生活用品のプラスチック容器や食品包装容器を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、「生分解性」が活用される場面はプラスチック製品のみではありません。その特徴や機能を活かし、農業資材や自動車、繊維、工業用樹脂など、幅広く利用されます。さて、もう一つ質問です。通常のプラスチックと生分解性のプラスチックとは何が違うのかご存じでしょうか。通常のプラスチックは、ほぼ半永久的に自然界に残ってしまいます。一方、「生分解性プラスチック」は文字通り、ごみとなる際に微生物などによって分解され、二酸化炭素と水になる特徴があります。つまり、環境にやさしいプラスチックです。
ただし、生分解性であるためには高い技術を要しますし、さらには生分解性であることを証明するために、厳しい試験をクリアしなければなりません。
生分解性試験とはどのようなものでしょうか
特定の環境条件において、製品や材料の物理的特性が環境に負荷をかけず分解されることを検証する試験です。試験する対象物や使用先によってさまざまな試験があり、以下はテュフ ラインランドが実施する試験で順守する主な国際規格です。
■ 米国試験材料協会により定められた規格
ASTM D6400
Standard Specification for Labelling of Plastics Designed to be Aerobically Composted in Municipal or Industrial Facilities
自治体や産業施設で好気的に堆肥化されるように設計されたプラスチックのラベルに関する標準仕様書
ASTM D5338
Standard Test Method for Determining Aerobic Biodegradation of Plastic Materials under Controlled Composting Conditions, Incorporating Thermophilic Temperatures
プラスチック材料の好気性生分解を、好熱温度を取り入れたコンポスト条件下で判定するための標準試験法
■ 国際標準化機構により規定された規格
ISO 17088
Plastics - Organic recycling - Specifications for compostable plastics
プラスチック - 有機リサイクル - 堆肥可能プラスチックの仕様
ISO 16929
Plastics - Determination of the degree of disintegration of plastic materials under defined composting conditions in a pilot-scale test
プラスチック - パイロットスケールにおける規定されたコンポスト化条件下でのプラスチック材料の崩壊度の求め方
■ ヨーロッパ規格
EN 13432
Packaging - Requirements for packaging recoverable through composting and biodegradation - Test scheme and evaluation criteria for the final acceptance of packaging
包装 - コンポスト化および生分解による回収可能な包装の要求事項 - 包装の最終引渡しの試験計画および評価
生分解性試験による3つのメリット
1. 製品や材料の環境中での残留性を確認
残留性が高いと、環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
2. 製品や材料の環境負荷を低減
生分解性が高いと、廃棄物の処理やリサイクルにかかるコストやエネルギーを削減することができます。
3. 製品や材料の市場価値向上
生分解性の認証やラベルを取得することで、消費者や企業に環境にやさしい製品や材料であることをアピールできます。
テュフ ラインランドの生分解性認証の実績
テュフ ラインランド ジャパン株式会社は、中京油脂株式会社のRESEM W-775及びRESEM BIO PLAに対し、欧州の生分解性認証規格DIN EN 13432に基づく試験をテュフ ラインランド上海の試験所にて実施し、DIN CERTCO(テュフ ラインランド グループの認証機関)より認証を発行しました。
テュフ ラインランドの生分解性試験サービスとは
テュフ ラインランドは、試験実施だけでなく、グループ会社による認証発行が可能です。生分解性認証は、欧州で唯一環境認証の認定を受けた第三者評価機関であるDIN CERTCOが発行します。
さらに、テュフ ラインランドで行った試験データを活用して、DIN CERTCOの”DIN-Geprüft Mark"やEuropean Bioplastics e. V.の"Seedling Mark"、アメリカBPI、英国REAL、オーストラリア・ニュージーランドABAの認証が取得可能となります。
生分解性プラスチックの定義、生分解性試験の概要(植物やミミズで試験)、DIN CERTCOの生分解性認証について、詳しく知りたい方は、とてもわかり易いこちらの「環境対策、初心者向け生分解性試験について(約17分)」をご覧ください。
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ウェブサイト | REACH REACH規則 SVHC(高懸念物質)分析サービス
公式ブログ「REACH規則 SVHC(高懸念物質)分析サービス」
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更新日 : 1/31/2024