玩具安全指令 2009/48/EC では、発がん性、変異原性、生殖毒性に分類される物質の玩具への使用は禁止されています。CMR物質(発がん性、変異原性、生殖毒性を有する物質)の使用を許可するためには、規則の適用除外となる2つの可能性があります。
2023年1月18日付 - テュフ ラインランド 最新国際規制情報ページに掲載
ひとつは、関連する科学委員会で評価され、特に暴露の観点から安全であることが判明されれば、この規則の適用除外となる可能性があります。もうひとつは、代替となる適切な物質や混合物がない場合、適用除外となる可能性があります。
コバルトは、発がん性カテゴリー1B、変異原性カテゴリー2、生殖毒性カテゴリー1Bに分類されており、ニッケルやニッケル含有合金の不純物としておもちゃに含まれているほか、コバルトを含む着色料など、意図的に使用されている場合があります。
保健衛生・環境・新興リスクに関する科学委員会(SCHEER)は、欧州玩具協会(Toy Industries of Europe, TIE)が提供した報告書と公開文献からの追加情報に基づいて、玩具におけるコバルト使用の安全性を評価しました。SCHEERは、考慮すべき玩具からのコバルトへの暴露の可能性がある原因を特定しました。一部の事例(例:電流を流すためのコバルト含有金属)を除き、適切な暴露評価に不可欠な情報および データが不足していたため、定量的な暴露評価、ひいてはリスク評価は不可能でした。
コバルトを含む金属の使用に伴うコバルト吸入によるリスクは無視できると考えられます。コバルトを含む顔料・着色料を含む粉末状の玩具材料と同様に、チョークおよびクライミングチョークからコバルト吸入暴露の潜在リスクが関連する可能性があります。そのような玩具には、コバルトフリー顔料が使用するべきです。3Dペンや3Dプリンターにおけるコバルト含有材料の「新たな」使用については、特に注意する必要があります。
経口暴露についてSCHEERは、利用可能な毒性学的参照値に基づいて、経口暴露に関連する玩具のコバルトの新しい移行限界を算出しました。しかし、経口暴露後のコバルトの発がん性については不確かであるため、移行制限値を技術的に達成可能な最低レベルに引き下げることを推奨しています。
経皮暴露については、繊維と皮革のコバルト含有量に関する ECHA-RAC 意見で提案された制限は、皮膚と接触するすべての玩具材料からの感作からも子供を保護すると仮定できます。
欧州玩具協会がこれまで行ってきた代替案の分析では不十分であると考えられ、SCHEERはコバルトフリー顔料を使用することを推奨しています。
関連リンク:SCHEER - Final Opinion on the safety of the presence of cobalt in toys
注)この記事は日本語の参考訳です。こちらの英語が原文です。疑問点等については原文を参照ください。
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更新日 : 2/17/2023