合成高分子であるポリエステルは、種類別に分類されている容量が多く、あまり汚染されていないものであれば、リサイクルが非常に容易な化合物です(家庭ごみから出るものは除きます)。
食品産業で使用されたPET*ボトルは、リサイクルに最適です。(*PET polyethylene terephthalate ポリエチレンテレフタレートの略)
PETボトルを溶かして紡いだ再生ポリエステルを使用すると、新しい繊維を生産するよりも少ない資源で済むため、多くのメーカーや小売業者はこの再生ポリエステル(rPET: recycle PET)を環境に優しく持続可能なものとして推進しています。しかし、再生ポリエステルは、新しい飲料用ボトルや食品包装の製造にあまり使用されないため、「ダウンサイクル」となってしまいます。
再生ポリエステルを生かし、ポリエステル繊維を用いたテキスタイルを使うことは可能で、市場での実現が進んでいますが、選別や洗浄に要する労力は格段に大きい反面市場規模が小さいのが現状です。
食品包装業界(単一使用プラスチック指令、Single Use Plastic Directiveの施行により、飲料用ボトルへの再生ポリエステルの使用が義務付けられた)やアパレルメーカーからの再生ポリエステルに対する需要が世界的に高まっており、再生素材はいわゆる「バージン」PETよりも大幅に高い価格とさらなる価格上昇が要求されています。そのため、申告された再生ポリエステルの量が素材に含まれているかどうか、その素材を使用するメーカー等が確認することは論理的で必要なことです。
PET検査について
PETボトルに使用される材料は、加工性向上の理由から、ポリマーの結晶性を調整するために主成分の直鎖テレフタル酸(パラフタル酸)に加えて、イソフタル酸(メタフタル酸)を2%程度添加していることが特徴です。
テレフタル酸 (CAS no 100-21-0) イソフタル酸 (CAS no 121-91-5)
このように、繊維やフィルムなどのポリエステル素材中のイソフタル酸の含有量を測定することで、再生ポリエステルの含有量がわかります。
イソフタル酸の含有量を測定するための分析は、テュフ ラインランドで実施可能です。例えば商品ラベルなどに記載する内容が正確であるか、また材料の原産地を確認することも行っています。
イソフタル酸の含有量は、以下のように解釈されます。
イソフタル酸の含有量 | 結果の解釈 |
< 0.1 % | 再生PETボトルの該当比率を表示しない |
0.1 % - 0.5 % | 再生ペットボトルの含有率が低い |
0.5 % - 1.5 % | リサイクルPETボトルの大幅な含有量 |
> 1.5 % | 再生ペットボトルを主原料とした製品 |
ポリエステルのバージン繊維を製造する際、繊維に再生ポリエステルの外観を持たせるために、一定量のイソフタル酸を添加します。ですので、イソフタル酸の検出は、再生ポリエステルの使用の証明にはなりません。
ポリエステル繊維を使用した再生ポリエステル
ポリエステルは一般的にイソフタル酸を含まず、ポリエステル繊維の初期生産では通常イソフタル酸はほとんど添加されません。テキスタイルに使用されるポリエステル繊維から得られる再生ポリエステル中のイソフタル酸の含有量を測定することは、あまり意味がありません。
注)この記事は日本語の参考訳です。こちらの英語が原文です。疑問点等については原文を参照ください。
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更新日 :9/30/2022