産業機器への規制範囲拡大
現在、韓国に輸出される産業機器に関する規制として、韓国産業安全公団(KOSHA)が管轄している任意認証制度(Sマーク)と強制認証制度(KCsマーク)があります。この中で韓国産業安全保健法第35条に基づく「自律安全確認申告」の対象機器が、2012年6月の施行規則改訂により大幅に拡大されました。2013年3月1日からは、新たな対象機器範囲で自律安全確認申告義務制度が施行されます。
1. KCsマークについて
従来の制度と拡大範囲については、下表をご参照ください。
認証スキーム | 対象製品 | 種類 | 法的根拠 |
KCsマーク | 1) 強制認証 危険機械・器具 (11品目;プレス機・せん断機・圧力容器・射出成型機など) 保護具・防護装置 2) 自律安全確認申告 >> 2013年3月1日より適応品目拡大 |
義務 (KOSHAが認証) |
産業安全保健法 第34条1~3項および第35条 |
Sマーク | 産業機械・機器全般およびそれらに使用する部品類 | 任意 (テュフ ラインランド ジャパンにて審査代行可能) |
同上 第34条4項 |
2013年3月1日より、「自律安全確認申告」対象機器となる製品は、産業用機械・器具(23品目)、防護装置(8品目)、保護具(3品目)です。対象製品は、韓国の安全要求に関する適合性を自社で評価・確認し(自律安全確認)、KOSHAへ申告しなければなりません。
産業用機械・器具(10項目 23品目)
- 研削盤または研磨機
- 産業用ロボット
- 混合機
- 破砕機または粉砕機
- 食品加工機械(破砕機、切断機、混合機、製麺機)
- コンベア
- 自動車整備用リフト
- 工作機械(旋盤、ドリル、平削・形削機、ミーリング)
- 木材加工機(丸鋸、鉋、ルータ機、帯鋸、面取り機)
- 印刷機
防護装置(8品目)
- アセチレンまたは混合ガスの溶接装置に使われる安全装置
- 交流アーク溶接機の自動感電防止装置
- ローラ用緊急停止装置
- 研削盤用カバー
- 木材用丸鋸盤の安全装置およびカバー
- 手動供給される動力削り盤のナイフガード
- 産業ロボット用安全マット
- 転倒・落下・倒壊などを防止する一時的防護装置・器具(強制認証品:より危険度の高い用途を除く)
保護具(3品目)
- 安全帽
- 保護ゴーグル
- 保護面
韓国の義務認証は、基本的にKOSHAが直接認証・登録窓口となります。「自律安全確認申告」について日本には認証代行機関はありませんが、テュフ ラインランド ジャパンでは任意の認証制度(Sマーク)において審査代行・申請を行ってきた経緯から、制度についての情報提供や、各機器の安全要求項目について一部翻訳版の提供・技術サポート・試験実施・申告手続き代行などを行っています。申請する際の必要書類としてKOSHA指定の申請書があります。詳細はテュフ ラインランド ジャパンまでお問い合わせください。
2. KCマークについて
産業・科学機器に関して、韓国ではもう一つの規制、情報通信機器認証規則に基づくKCマーク(以下、KC(RRA))制度も存在します。旧KCCあるいはMICマークで馴染みのある方もいらっしゃると思いますが、こちらも2012年に発行された電波研究所(RRA)告示第2012-9号の改訂により、「適合登録カテゴリー」の範囲が拡大されています。一般の産業および科学機器は、「自己試験適合登録対象機器」に該当となり、こちらはEMCに関する適合性を自己で評価し、RRAへ登録する制度です。対象範囲の機器は以下の通りです(拡大範囲は太字)。
- 測定・検査目的で使用される機器(オシロスコープ、ポータブル自動車診断器など)
- 産業・科学用で使用される機器(製品の製造や生産工場の機器)
A. 産業用コンピュータ
B. 産業用コンピュータで制御される産業用プラント設備
C. その他、産業・科学用で使用される機器 - 特定用途に限定した場所で使用される機器(デジタル式運行記録計など)
- ネットワークに影響の少ない機器
- 電気鉄道用機器類
- 高電圧設備及び付属機器類
- その他、上記1-6および適合登録機器;韓国指定ラボにてEMC試験が必要な機器に準じる機器
KC(RRA)自体は2011年7月から施行されていますので、既に対応済みの方が多いかと思いますが、今後韓国へ産業・科学機器を輸出される場合は、上記KCs「自律安全確認申告制度」と併せて、ご注意ください。テュフ ラインランド ジャパンでは、EMC試験やKC(RRA)のための評価および申請代行を行っています。
更新情報:
・KC(RRA)の最新ニュース 適合性評価の対象範囲に関して
・制限された空間での韓国KC(RRA)登録免除について 2023年2月3日改正| 韓国 | 国際規制情報
・韓国KCsマーク「自律安全確認申告制度」について(ガイドライン2020.3版)
・KCsで要求される銘版と電気試験データ | 韓国自律安全確認申告制度(KCsマーク)最新情報
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更新日:7/6/2023