新基準「AfPS GS 2019:01 PAK」
GSマーク認証に必要となる、多環芳香族炭化水素(PAH)に関する要求事項の改定が行われました。今回の改定は、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)のイニシアチブのもとで行われ、
製品安全局(ZLS)の経験交換グループEK2「スポーツ、遊具、レジャー用品、ボート」タスクフォースAK 2.6「化学」も参加しています。
2019年5月15日、ドイツ製品安全委員会(AfPS)は、PAHに関するGSマーク認証の新基準を発行しました。8月28日付でドイツ労働安全衛生研究所(BAuA)のウェブサイトで公開されています。
2020年7月1日付で発効
GSマーク認証の基準「AfPS GS 2014:01 PAK」は置き換えられ、2020年7月1日から上記基準がGSマーク認証の取得に必須となります(2020年7月1日以降に取得手続きが完了するものも含まれます)。すでに取得済みのGSマーク認証が失効することはありません。
関連する他の変更点
今回の改正は上限値そのものの引き下げではありません。子ども向け製品がより厳しいカテゴリーに分類されるために、これらに対してのみ要求事項が厳格化されます。
- ) 子ども向け製品に対する要求事項の厳格化:
- カテゴリー1、2aおよび3aの適用範囲が、指令2009/48/ECが定義する「玩具」から、その他の子ども向け製品にも拡大されています。
- カテゴリー1は、肌に接触する時間が長く3歳以下の子どもが使用する製品に適用されます。
- カテゴリー2aおよび3aは、子どもが使用するその他のすべての製品に適用されます。
- ) 測定成分リストの改訂:
アセナフチレン、アセナフテン、フルオレンは、毒物学上の関連性が低いため、評価の対象から除外されました。
これによってPAHマーカーの合計とPAH15種の合計のみが評価に使用されます。 - ) 試験範囲の明確化:
- ユーザーが簡単なメンテナンスまたは関連する作業中に、ごく稀に、ほんのわずかに接触する可能性のある成分は、評価の対象から外れました。
- 口に入る可能性のある材料は、唾液に直接または間接的に接触する可能性がある場合には(接触可能かに関わらず)、評価に含める必要があります。
「AfPS GS 2019:01 PAH」に準拠した新PAH物質表
パラメータ | カテゴリー1 | カテゴリー2 | カテゴリー3 | ||
口に入れることを意図した材料、または肌との長時間の接触(30秒超)を意図した3歳以下の子どもを対象とする玩具または物品 | カテゴリー1に該当しない材料で、肌との長時間の接触(30秒超)または肌との短時間の反復的接触が意図される、または予見されるもの | カテゴリー1および2に該当しない材料で、肌との短時間の接触(30秒以下)が意図される、または予見されるもの | |||
カテゴリー2a 子どもが使用 **** |
カテゴリー2b その他の一般消費者向け製品 |
カテゴリー3a 子どもが使用 **** |
カテゴリー3b その他の一般消費者向け製品 |
||
各発がん性PAH(10物質)* [mg/kg] |
< 0.2 | < 0.2 | < 0.5 | < 0.5 | < 1 |
ナフタレン[mg/kg] | < 1 | < 2 | < 10 | ||
PAHマーカー(4物質)**の合計[mg/kg]*** | < 1 | < 5 | < 10 | < 20 | < 50 |
PAH 15物質の合計[mg/kg]*** | < 1 | < 5 | < 10 | < 20 | < 50 |
* 発がん性物質に分類されるPAH(ナフタレンは除く)には、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[e]ピレン、ベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[j]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、クリセン、ジベンゾ[a,h]アントラセン、インデノ[1'2,3 cd]ピレン、ベンゾ[ghi]ペリレンがあります。これらの物質のうち最初の8種類(EU-PAH)は、REACH-VO 1907/2006/EG附属書XVII のエントリーno. 50で法的に規制されています。
** PAHの含有を示す物質:フェナントレン、ピレン、アントラセン、フルオランテン。
*** PAHの合計には、材料中に0.2 mg/kg以上測定されたPAH物質のみが含まれます。
****「子ども」は14歳未満を意味します。
「子どもが使用」には、子どもによる能動的および受動的な直接の接触が含まれます。
PAHとの関連性を判断するための材料のリスクアセスメント
GSマーク認証機関(ZLSが承認するGSマーク認証の試験機関)がリスクアセスメントを行い、PAHに関連性のある領域を決定します。製品の接触面、グリップ面、操作面のうち、どれが試験対象でありどれが試験対象でないのかを判断します。
またGSマーク認証機関は、使用されている材料の種類においてPAHの含有が予想されるかを判断する役割を果たします。PAHは、ゴムだけでなく、さまざまなタイプのプラスチック、合成繊維、塗料、ナフタレンで加工された自然素材などにも含まれます。
完全に手が届かない、または道具を使用しないと手が届かない場所に使用された材料については、明らかな匂いを発しているサンプルを除き、考慮する必要はありません。
お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL:045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com)
更新日 : 6/24/2020