製品を持ち込むためのルールが、47都道府県それぞれ独自にあったらどうなるか想像してみてください。
例えば、東京で使えて神奈川で使えないスマホがあったとしたらどうでしょう?恐ろしく煩雑で、不便になることが想像できると思います。このスケールをかなり大きくしたのがヨーロッパです。
昔のヨーロッパの煩雑な流通体制は「オールドアプローチ(Old Approach)」と呼ばれています。前述の例のように、ヨーロッパ各国が独自のルールを敷いており、その全域で製品を流通させるためには、数十ヵ国のそれぞれ異なるルールに適合させる必要がありました。この状況を改善すべく打ち出されたのが「ニューアプローチ(New Approach)」で、1985年に制定されました。その基本的な考えは以下の通りです:
- 関係国は「必須要求(Essential Requirements)」を満たしていない場合のみ、製品の流通を差し止め可能である
- 製品群ごとに「指令(Directive)」を定め、そこで具体的な必須要求などを制定する
- 技術的な仕様については、「整合規格(Harmonized Standard)」内で定める
- 必須要求への適合性を示す手順は製造者が任意に選択できる(整合規格の使用は非強制)
無線機器であれば、「無線機器指令(Radio Equipment Directive)」に従い、必須要求への適合評価を行う必要があり、適合していることの証として、よく知られる「CEマーキング」を製品上に行います。
無線機器指令の必須要求事項とは?
無線機器指令は2014年に制定された指令で、対象は無線通信を行う機器全般、ビーコン、検知レーダーなどです。無線機器指令の必須要求は以下の通りです:
[第3.1a項] 人、動物の健康、安全の保護(低電圧指令相当の電気安全を含む)
[第3.1b項] 必要十分なEMC性能( EMC指令相当)
[第3.2項] 妨害を避けるための無線スペクトラム(周波数資源)の有効利用
[第3.3項] 特定のカテゴリーの機器に対するその他の要求事項
これらをイラストで表現すると以下のようなイメージになります:
他国にない特徴として、
・動物や家畜なども保護の対象となる
・電磁的ノイズを受けた場合の耐性も求められる
などが挙げられます。
無線機器指令の適合評価とは?
これらの必須要求への適合性を示すための具体的な評価手順は、一般に、整合規格を用います。整合規格は、Official JournalというEUの官報で公示されている規格群で、製品の特性、仕様を考慮した上で、適切に選定する必要があります。
無線機器指令の適合評価は複雑で、適切な内容で評価を行うためには経験が必要です。その際は、ぜひテュフ ラインランド ジャパンにご相談ください。テストプラン作成を通じて、詳細な評価計画の作成をサポートします。
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綿貫 大輔(わたぬき だいすけ)
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更新日 : 10/21/2022