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圧力機器指令 2014/68/EU ―製品カテゴリーの選定と適合性評価手順

Posted by TUV Rheinland Japan on 2022/10/24 18:36:12
TUV Rheinland Japan

圧力機器の製造、輸入、販売がEU市場向けの場合、製品は圧力機器指令(PED 2014/68/EU)の要件に適合していることが必須条件です。この指令には、圧力機器の基本安全要求事項が規定されており、PED要求事項への適合性評価手順についても記載されています。

ここでは、製造業者・輸入業者・販売業者のために、本指令の主要ポイントをはじめ、対象製品のカテゴリー選定をご紹介します。

PED MS

適合性評価ではなにをすればよいか?

圧力機器の設計パラメータや関連する潜在的な危険性にかかわらず、PEDは適合性評価のためのさまざまな手順を規定しています。適合性評価では製品試験またはシステム審査が必須で、PEDの附属書IIIに規定されています。

対象範囲
圧力機器指令PEDは、最大許容圧力が0.5barを超える圧力機器およびアセンブリ(組立品)の設計、製造、適合性評価に適用します。

~おさらい~

圧力機器とは

圧力容器、スチームボイラー、配管、安全アクセサリー、圧力アクセサリー、アセンブリ

アセンブリとは

圧力機器指令おけるアセンブリ(組立品)とは、製造者によって組み立てられた状態で市場に出される、複数の圧力機器が組み込まれた機能的なユニットのことを指します。アセンブリは、安全装置を考慮した上で、適合性の総合評価を受ける必要があります。 例えば、プロセス制御の安全装置も、該当する場合は評価しなければなりません。

アセンブリは、エンドユーザーが直接使用することを目的とする場合と、より大きなアセンブリのサブアセンブリとして設置される場合があります。消火器などの単純なものから、水管式ボイラーや冷凍プラントなどの化学・エネルギー産業における複雑なものまで多岐にわたります。

 

技術的要求事項

必須安全要求事項には、圧力機器の設計や製造に関連する仕様が含まれます。

  • 永久接合(溶接・ろう付けなど)の施工法に関する要求:カテゴリーII、III、IVはノーティファイドボディによる認証
  • 溶接作業者の資格に関する要求:カテゴリーII、III、IVはノーティファイドボディによる認証
  • 非破壊検査要員の資格に関する要求:カテゴリーIII、IVはノーティファイドボディによる認証
  • 材料に関する要求:特別材料評価(PMA)の実施。カテゴリーIII、IVはノーティファイドボディによる評価
  • 材料製造者に関する要求:カテゴリーII、III、IVはノーティファイドボディによる品質マネジメントシステムの認証など
  • 圧力機器の最終評価に関すること:適用モジュールにより、ノーティファイドボディによる設計、最終評価および圧力試験などの審査ど


カテゴリー分類

圧力機器はPEDの附属書IIに従い、圧力、体積または呼び径、流体グループおよびその他の条件により、危険度の昇順に従ってカテゴリーIからIVに分類されます。ただし、カテゴリーI未満に分類される圧力機器(第4条(3)圧力機器)には必須安全要求事項は適用されず、その結果、CEマークを貼付することはできません。このような機器は、良好なエンジニアリング習慣に従って設計および製造される必要があります。



評価手順について

製品のグループタイプを決定し、カテゴリーを決定します。該当するカテゴリーにより評価手順が異なるため、適切にカテゴリー分類をする必要があります。

モジュール選定

カテゴリー分類に応じてモジュールを決定します。モジュールはAからHまであり、製造プロセスにおいて対応事項や、ノーティファイドボディの関与の有無などが異なります。

カテゴリー内のモジュールの説明    
1.モジュール A と A2
内部生産管理
モジュール A :製造者は継続的な社内生産管理の責任を負います。
モジュール A2 :社内生産管理に加えて、ノーティファイドボディの不定期な訪問による圧力機器の最終評価の監視が実施されます。
2. モジュールB(P)
EU型式試験(設計レビュー・製品検査)
ノーティファイドボディが設計書類と製品の型式試験に基づいて、PEDの要求事項に適合しているかを検証します。
3. モジュールB(D)
EU型式試験(設計レビュー)
ノーティファイドボディが設計文書に基づいて、PEDの要求事項に適合しているかを検証します。
4.モジュール C2
型式適合(最終検査のモニタリング)
製造者は、圧力機器が EU 型式試験証明書に記載された型式(生産型式)に適合していることを宣言しなければなりません。ノーティファイドボディは、製造者のサイトにおいて、不定期の間隔で製造と試験を監視します。
5.モジュールFとG
個別製品の最終検査
型式試験やQAモジュールの他に、PEDは圧力機器が指令に適合していることを評価するための個別試験も規定しています。ノーティファイドボディが設計文書を審査し、圧力機器の最終評価を実施する手順です。検査が完了すると、ノーティファイドボディから適合証明書が発行されます。

6.モジュール D、D1、E、E1、H、H1
品質マネジメントシステム
PEDでは、製品試験に加え、品質マネジメントシステムに対するノーティファイドボディによる評価も規定されています。PEDの品質マネジメントシステムに対する要件は、ISO 9001に準拠した認証の適用要件に基づいており、PEDの付属書IおよびIIIの規定から生じる製品固有の要件によって補足されています。

モジュール D/D1 生産工程の品質保証
モジュール E/E1 圧力機器の品質保証
モジュールH 完全品質保証
モジュール H1 完全品質保証とノーティファイドボディによる設計審査

7.材料製造者
材料製造者に対する要求事項は、モジュールの1つではなく、附属書 I の 4.3 項に記述されています。ノーティファイドボディは、材料製造者の 品質マネジメントシステムを、材料の特定の評価とともに審査します。
 

 

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PEDが規定する品質マネジメントシステムとは?

責任と手順を明確にし、さらに以下のことが確実に実施されていることです。たとえば

  • 品質目標を設定し、その遵守状況を監視
  • 情報・データの管理
  • 施工仕様の定義、施工結果の検証、妥当性確認を実施
  • 最も起こり得る可能性が高いと予見される事象に対するプロセスの安全性の確認
  • 製品製造に用いられる部材の受入検査手順の客観性と信頼性の確認
  • 製品の品質に関する明確な記録を作成、実施された品質マネジメントシステムの有効性を監視、必要に応じて是正措置および予防措置を講ずる

PEDに準拠した品質マネジメントシステムの評価手順は、4つのフェーズに分けられます。※フェーズ1は任意です。




CEマーキング

PEDは適合性表示(CEマーキング)の使用に関する規定も含んでいます。このマークは、すべてのEU指令、特にPEDの要求事項に適合していることを示すもので、該当する場合は関係するノーティファイドボディのID番号も記載されます。製造者はノーティファイドボディに対し、モジュールに応じた技術資料を提供する必要があります。テュフ ラインランドは、TÜV Rheinland Industrial Services GmbHのID番号0035で登録されています。
   


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圧力機器の製造、輸入、販売に携わる方々に、指令の内容について少しでもご理解いただき参考にしていただければ幸いです。また、カテゴリー分類とモジュール選定の図をご活用いただき、対応すべき事項をご確認ください。ご不明な点やご質問がございましたら、ぜひお問い合わせください。

 

【関連情報】
圧力機器指令 PED (ウェブサイト)

お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com

更新日 : 01/10/2024

Topics: 圧力機器, 産業機械, CEマーキング, PED