1. ISCC認証とは?
ISCC認証(International Sustainability and Carbon Certification / 国際持続可能性カーボン認証)は、持続可能なバイオマスおよび再生材料の利用を促進するために設立された国際的な認証システムです。主な目的は、環境保護と資源の持続可能な利用、カーボン管理を推進することであり、企業が持続可能なビジネスを実践する手助けをすることです。ISCC認証は2006年に規格化され、その後、欧州連合の再生可能エネルギー指令(EU RED指令)の内容も取り込み、持続可能なバイオマスの生産と利用の促進を促すものとなっています。
2. 化学業界の動向
この認証は世界中で広く利用されており、様々な分野において重要な役割を果たしています。特に、近年では化学業界およびその関連業界において、カーボンニュートラルの実現を目指し、ISCC認証を利用する動きが見られます。石油および基礎化学製品の製造業に始まり、プラスチックなどの中間原料の製造業、さらにそれらを使用した最終製品(包装容器、包装フィルム印刷加工、飲料用ボトルなど)製造業、あるいは原料調達に関わる商社など、多くの企業で認証取得の動きが活発であることからもその傾向が伺えます。
3. 認証基準とプロセス
ISCC認証を取得するための基準は非常に厳格で、持続可能性に関するさまざまな要件を満たす必要があります。具体的には、環境、経済そして社会に関する持続可能性が求められます。また、本認証を取得する企業は、希望に応じて温室効果ガス排出量の定量を追加して認証することが出来ます。これらの基準は、バイオマスや再生材料の生産から供給チェーン全体に適用されます。
認証プロセスは以下のステップで構成されています。
- 認証機関の選定:任意の認証機関を選び、契約する
- ユーザー登録:ISCC HPから必要事項を記入し登録する
- 審査: 認証機関による審査を実施
- 審査書類の提出:ISCCに審査書類を提出
- 内部レビュー: ISCCは認証機関から受領した審査書類に対して内部レビューを実施
- 証明書公開: ISCC HPに証明書が公開される
4. ISCCの種類
ISCC認証には、いくつかの種類(スキーム)があります。認証を取得する企業が、使用する原料、対象とする製品、地域および業界などに応じて選択することができます。
5. 対象となるバイオマス原料や再生材料
ISCC認証の対象となるのは、バイオマス(例えば、エネルギー作物、農業副産物、林産物)および石油由来の未利用資源(リサイクルプラスチック、廃棄物原料など)です。これらの原料や材料が持続可能であると認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 生物多様性が高い、または炭素貯蔵量が多い土地の保護(プランテーションにのみ適用)
- 環境保護
- 安全な労働条件
- 人権、労働権、土地の権利の遵守
- 法律および国際条約の遵守
- 優れた管理慣行と継続的改善
6. 認証の利点とビジネスへの影響
ISCC認証を取得することのメリットは多岐にわたります。
- 市場アクセスの拡大:認証製品は国際市場での信頼性が高く、多くの取引先や顧客からの支持を得やすくなります。
- ブランド価値の向上:消費者は環境に配慮した製品を選ぶ傾向が強まっており、市場での競争力が強化されます。
- コンプライアンス遵守:環境規制の遵守により法的リスクが低減し、信頼性の向上も期待できます。
- コスト削減:効率的な資源利用や廃棄物の減少により、長期的なコスト削減が可能になります。
- 投資誘引:サステナビリティに対するコミットメントを示すことで、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資家からの関心を引きやすくなります。
7. まとめ
ISCC認証は、持続可能なバイオマスおよび再生材料の利用を促進し、企業が環境保護と社会的責任を果たすための重要なツールです。認証を取得することで、企業は持続可能なビジネスモデルを構築し、ブランド価値を高め、競争力を強化することができます。持続可能な未来を目指す上で、ISCC認証の役割はますます重要になっています。ISCC認証を通じて、企業は持続可能な経済発展に貢献し、地球環境の保護に寄与することが求められています。
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更新日 : 6/25/2024