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デマンドレスポンス – IoTを利用した需給調整の最適化
デマンドレスポンスとは、電力使用のピーク時に、電力会社などが工場やビル、一般家庭などの需要側に節電を要請し、コントロールすることで電力の需給バランスを取る技術です。従来のデマンドレスポンスは手動で行われていましたが、今後はインターネットへの接続を通じて自動デマンドレスポンス(Automated Demand Response)が実現されていきます。これにより、迅速かつ効率的であるとともに、きめ細やかな需給調節が実現されます。
政策においては、デマンドレスポンスが本格的に立ち上がることを目的として、官民の協力体制が構築されています。2015年11月の‘未来投資に向けた官民対話’において、「節電(ネガワット)のインセンティブを高め、家庭の太陽光発電やIoTを活用して節電した電力量を売電できる‘ネガワット取引市場’を2017年までに創出する。そのため、2016年度中に、事業者側の取引ルールを策定し、エネルギー機器を遠隔制御するための通信規格を整備する」という安倍総理による指示が出されました。
*1 ネガワット取引:電力供給と需要の関係において、需要が供給を上回る場合は「ポジワット(発電の増加)またはネガワット(省電力)を行い、需要が供給を下回る場合は発電の抑制または需要の創出が行われます。ネガワット取引:事業者からの要請に応じて需要家が需要を抑制し、その抑制量に応じた対価を事業者が支払うもの。(参考:経済産業省「ネガワット取引について」
この国のトップダウン指示により、これまでよりさらにネガワット取引市場の普及準備が加速し、2016年1月には、産学のトップマネジメント層で構成されるエネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス・フォーラム(ERABフォーラム)と官主体の実務的検討の場であるエネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検討会(ERAB 検討会)が設置されました。
エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検討会
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/energy_resource/001_giji.html
デマンドレスポンスに関連するアクションプランとしては、次の4点が挙げられています。
- 通信規格の整備
- ネガワット取引*1市場の創設に向けたルール策定
- 逆潮流*2に係る計量ルールの整理等
- 「バーチャルパワープラント」に係る制御技術の技術実証
*2逆潮流:自家発電事業者が電力系統に接続されている場合、消費する電気よりも発電する電力が多くなると、その余剰電力は電力会社線側に戻るように流れます。これが逆潮流と呼ばれます。
- 続く -
Japan Industry News 2016年8月掲載記事の日本語訳です。
IoTを利用した電力需給の効率化― 最新の取り組みとその技術(1)