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グローバル統合マネジメントシステム(MS)によるリスクマネジメント強化の実現

Posted by TUV Rheinland Japan on 2020/08/18 11:10:56
TUV Rheinland Japan

ISOマネジメントシステムのグローバル統合マネジメントシステム(MS)が、近年活発に議論されるようになりました。組織が統合MSに期待する要素はさまざまですが、かつては、統合MSを実現することにより審査工数が削減され、その結果認証維持費用が低く抑えられるというコストメリットへの期待が主流を占めていました。しかし、ISO規格においてリスクマネジメントの側面が強調されるようになってからは、統合MSによるリスクマネジメント強化を期待する企業が増えています。統合MSの実現により、なぜ強固なリスクマネジメントが実現できるのか、その理由を考察します。

MS_images


グローバル統合マネジメントシステム(MS)

一般的にグローバル統合MSとは、複数の国に所在するサイトが、単一のMSで運用管理される状態を述べます。例えば、図1に示すA、 B、 Cサイトを一つのMSで運用する場合、それはグローバル統合MSと呼ばれます。

  • Aサイト:MSにおける中央機能の役割を有する。
  • B、Cサイト:Aサイトの管理下にあり、その指示のもとにMSを運用する。

図1
MS_Global_fig1

リスクマネジメント
リスクマネジメントを行う上で必要な条件は、状況、状態が見えることです。状況、状態が見えるというのは、「計画」、「結果」および「プロセス」が見えるといってもよいでしょう。これを前述のA、B、Cサイトに当てはめると、AサイトがB、Cサイトの「計画」、「結果」および「プロセス」が見えることが、組織全体のリスクマネジメントにとって重要であるということです。

リスクマネジメントレベル
具体的にリスクマネジメントレベルを理解するために、下記の3つのケースで検証します。

  • ケース1: A、 B、 Cサイトからなる単一のMS(統合MS)を構築している。
  • ケース2: A、 B、 Cサイトが、それぞれが個別にMSを構築している。
    Aサイトがマネジメントレビュー(MR)を行う際、B、 Cサイトの情報をインプットし、A、 B、 C統合MRを実施している。
  • ケース3: A、 B、 Cサイト、それぞれが個別にMSを構築している。
    B、 Cサイト、それぞれが個別にMRを実施している。

それぞれのケースの状態は、図2のように示すことができます。

図2
MS_Global_fig2

各々のケースでの、「計画」、「結果」および「プロセス」の見える化の状況を把握するために、Aサイトから見たB、Cサイトの見える化の状況を図3に示します。

図3
MS_Global_fig3

  • ケース1:統合MSを構築しているため、計画が共有されるとともに、MRを通して結果が把握される。さらに、プロセスアプローチを採用することによるプロセスの明確化が組織全体で行われるため、AサイトはB、Cサイトのプロセスを把握することができる。
  • ケース2:統合MRを行っていることから、おおよその計画は共有されており、また、MRを通してB、Cサイトに関する最低限の情報はAサイトにインプットされる。しかしながら別々のMSであるため、AサイトはB、Cサイトのプロセスを把握できない。
  • ケース3:計画が共有されていたとしてもMRが個別に実施されているため、AサイトはB、Cサイトの情報を漏れなく入手することが困難である。また、別々のMSであるため、 AサイトはB、Cサイトのプロセスを把握できない。

3つのケースにおいては、プロセスに対して最も顕著な見える化の差が表れます。MSを統合するということは、プロセスの情報を共有する意味で非常に重要であることが分かります。さらに、プロセスを理解するということは、そのアウトプットの妥当性を知ることにつながります。例として、図4に順守評価プロセスを示します。プロセスの運用内容を知ることで、そのアウトプットを信頼することが可能です。

図4
MS_Global_fig4

最後に、3つのケースにおける、リスクマネジメントレベルを比較します(図5)。ケース1では、リスクマネジメントを行う上で必要な情報である「計画」、「結果」および「プロセス」の見える化が可能であり、さらに、プロセスの見える化によりアウトプットの妥当性も把握できます。結果として、ケース1の状態が最も良好なリスクマネジメントを可能にすることが理解できます。 

図5
MS_Global_fig5

今回は、グローバル統合MSという視点で述べましたが、国内における複数サイトを統合する場合も、そのリスクマネジメントへ与える影響は同様です。MSの統合化においては、組織としてその目的を明確にすることが重要です。単にコストメリットのみを追いかけるのではなく、組織にとって中長期的にプラスとなるMSとはどういうものであるのかを考える必要があります。そうすることで、ISO規格が求める、事業に貢献するリスクベースのMSの構築が可能となります。

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Topics: マネジメントシステム, tuv.communication