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規格書に最終的な「答え」はありません

Posted by TUV Rheinland Japan on 2021/09/24 9:50:47
TUV Rheinland Japan

【連載】安全設計を失敗しないために

テュフ ラインランドは、機能安全技術について40年以上前から研究をはじめ、その成果の多くが現在の規格書に採用されています。この長年の知見をもとに、世界中で数多くの機能安全認証や試験、教育などを実施してきました。

十数年にわたり、認証・評価業務、技術講師、執筆等を務めてきた機能安全認証検査員が、読者の皆さまに「失敗しない安全設計」を実現していただくために、機能安全やサイバーセキュリティの正しい理解や誤解を解くヒントなどをお伝えします。実践的な内容ですので、ぜひ業務にお役立てください。

(c) emmanuel-ikwuegbu

 

実践版、機能安全とサイバーセキュリティ ~認証検査員の視点~

国際安全規格と日本のエンジニア


日本のエンジニアは、指示や規定されたことに従うことは非常に優秀ですが、自ら発想し創造することには慣れていないと言われています。しかし、機能安全の規格は、この日本のエンジニアが慣れていない、苦手としている能力を最大限に使うことを要求しています。

そのため、EUに比べ、日本の機能安全への取り組みは消極的であったり、的外れな議論を生んだりしています。要するに、規格書が要求している「こと」を正確に理解し設計・発想することが必要とされている訳ですが、実はこの「こと」の意味が大切なポイントになります。

 

規格書が要求している「こと」とは数値ではない!

「こと」の大半は具体的な数値で示されたものではなく、目指すべき方向や推奨される技法などで表されています。設計者はそれらを理解し、自らが責任をもって具体的な設計仕様を決定しなければなりません。安全な製品とはどうあるべきか、つまり最終的な「答え」はエンジニアとして考えれば必ず決められるはずです。

しかし、多くの日本のエンジニアはその最終的な「答え」そのものが規格書の中にあると思い込み、それらが見つからないことで途方に暮れてしまいます。全ての製品が安全となる明確な数値などそもそもあり得ませんし、規格書の中にも当然書かれていません。むしろ意図的に書いていません。その理由は、明確な数値を記載することで、設計者はその数値が自社製品にとって本当に安全なのかどうかを深く考えずに、単に数値を満足することだけに意識が向いてしまいがちだからです。それを防ぐためにあえて記載しないのです。規格書を見ることはあまり意味がないと思われるかも知れませんが、実際はその逆で、安全な製品設計にとって非常に有益な情報が書かれています。

例えば、診断技法についてどのような診断方法を用いれば目標の安全度水準を満たすことができるか、あるいは安全なソフトウェアプログラムの作り方などのガイダンスが豊富に記載されています。

しかしながら、規格書を隅々まで読んだとしても、独学で理解するのはそう簡単ではありません。そのため、テュフ ラインランドでは専門家によるトレーニングを定期的に開催し、短時間で正確な理解が進むよう教育サービスも提供しています。トレーニングコース紹介資料

 

執筆:テュフ ラインランド機能安全 認証検査員

 

テュフ ラインランドの機能安全サービス

機能安全セミナー・トレーニング

公式ブログ:機能安全とサイバーセキュリティについて

機能安全 IEC 61508についてわかりやすく解説しています。出典:「計測技術」(2016年10月号) 日本工業出版株式会社

機能安全 IEC 61508 について<要求のポイントと認証プロセス>(1/3)
機能安全 IEC 61508 について(2/2)
機能安全 IEC 61508 について(3/3)

 

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更新日 : 8/22/2021

Topics: Functional Safety, tuv.communication, 機能安全