tuv-jp-blog-banner

欧州委員会規則(EU)10/2011の15回目改正の発行について | EU | 国際規制情報

Posted by TUV Rheinland Japan on 2020/12/24 9:08:02
TUV Rheinland Japan

2020年9月2日、欧州委員会は、欧州委員会規則 (EU) 2020/1245を公表しました。本規則は、食品と接触することを意図したプラスチック材料および物品に関する欧州委員会規則 (EU) No.10/2011の変更および修正について記載しています。

今回の改正で特に重要な点は、大きく下記4項目です。

1. 欧州食品安全機関 (EFSA) の最近の科学的意見に基づく附属書Iのユニオンリストの更新

2. 付属書IIのプラスチック材料および成形品の制限の更新

3. 適合宣言のための附属書IVの更新

4. 適合試験に関連した附属書Vの更新

SCIP_shutterstock_145005193

1. 欧州食品安全機関 (EFSA) の最近の科学的意見に基づく附属書Iのユニオンリストの更新

  • 臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムで修飾したモンモリロナイト粘土(FCM No.1075)、亜リン酸、トリフェニルエステル、α-ヒドロ-オメガ-ヒドロキシポリ「オキシ(メチル-1,2-エタンジイル)」、C10-16アルキルエステルを有するポリマー(FCM No.1076)、フッ化物修飾アルミナで表面処理した二酸化チタン(FCM No.1077)の3物質の追加。
  • 1,3-フェニレンジアミン(FCM No.236)、三酸化アンチモン(FCM No.398)2物質のSMLに関する変更。

 

2. 付属書IIのプラスチック材料および成形品の制限の更新

 - 重金属の特定移行量

  • 既存9種の元素に15種を加え、対象となる重金属元素を合計24種へ拡大しました。これにより特定移行量制限(SML)のリストが更新されました。
  • このリストは、当局や産業界によるケースバイケースの評価に代わるもので、全ての関連要素についてのコンプライアンスを検証するための統一されたアプローチとして機能します。


プラスチック材および成形品から溶出する24種の重金属の各溶出限界値:

table

注釈
1. 移行はArticle 11(3) ならびに Article 12の対象となる。
2. FCM No 398 antimony trioxideより、非常に高温でSMLを超える可能性がある。
3. 既存の文書で六価クロムが除外されていることが示されている場合、3.6 mg/kgの総クロムが適用される。
4. ランタニド物質(ユーロピウム、ガドリニウム、ランタン、テルビウム)はArticle 6(3)(a) に従い、次の条件を満たした場合使用できる。
 (a) 食品または食品疑似溶媒に移行するすべてのランタニド物質の合計が0.05 mg / kgを超えない。
 (b) Article 16で言及されている証拠資料の一部として、使用されたランタニド物質が食品または食品疑似溶媒に解離したイオン形態で存在することを示す、十分に説明された方法論による分析証拠。

 - 第一級芳香族アミン(PAA)の特定移行量

  • より良い分析方法が可能となったため、PAAsの検出限界値を0.002mg/kgに引き下げます。
  • 検出限界値は、規則(EC) No 1907/2006 付属書 XVII Appendix 8 のentry 43 に記載された PAAs に適用されます。また、各単一物質PAA毎に検出限界値 0.002 mg/kg が検出されてはいけません。
  • 規則(EC) No 1907/2006 の付属書 XVII のAppendix 8 のentry 43 にリストされていない PAAs についても、「検出不可能」で且つPAA総和が0.01mg/kg以下であること、という要求を満たす必要があります。

 

3. 適合宣言のための附属書IVの更新

  • 上記の附属書 II の更新に伴い、附属書 II の仕様を満たすため、付属書IVは追加宣言の必要性を定めています。当局からの要求に応じ、適合性の裏付けとなる文書を提供できることが重要です。
  • 同時に上流の責任も重視されます。中間材の製造者は、中間材の調合や製造に使用する物質に基づき、添加物質の遺伝毒性が除外出来ないか、また、附属書Ⅱに関する情報を宣言する必要があります。

 

4. 適合試験に関連した附属書Vの更新

 - 機器または器具全体を使用した移行試験

  • 食品加工機や器具内にプラスチック部品を含む成形品のため、完成品としての製品評価を実施するためのサブパラグラフが第2章に追加されます。実際の使用を適切に模擬していること、試験で検出された食品疑似溶媒が予見可能な最も厳しい使用条件で採取されたものであることが評価においては重要です。
  • このアプローチでは機器の適合性のみを確認することができます。試験結果が許容限度値を超えた場合、不適合がプラスチック材料に起因するものかを追跡するため、更なる調査が必要です。

 - 総移行量におけるOM0の導入

  • OM0試験条件(40℃、30分)を導入し、低温または常温での短時間の使用条件を想定します。
  • 上記のような使用条件を模擬するのに近似したOM2とOM3もありますが、実際の製品寿命条件よりもかなり厳しいものです。この新しいOM0は、そのギャップを埋めるのに役立ちます。
  • このより適した評価オプションにより、OM2 または OM3 の代わりにOM0 で分析できるもの(プラスチック製のガーリックプレスなど)があります。

 - 食品と繰り返し接触する成形品や材料について、OMとSMの適合性を検証

  • 繰り返し使用する成形品を試験する場合、3 回目の移行試験の結果を移行制限値の適合性の確認に使う必要があります。通常状態では、食品および食品添加物に対して耐性のあるプラスチックの場合、そのような移行試験による残留物は、移行ごとに減少します。
  • この意味で、2 回目の移行量は1 回目の検出量を超過してはいけません。また、3 回目の移行量は2 回目の検出値を超えてはいけないことが規定されています。
  • 3 回目の溶出結果が移行制限値以下であっても、試験結果に減少傾向が見られない場合、適合とは判断できません。

 

上記改正は、EU官報への掲載から20日目の2020年9月23日より効力を有します。プラスチック材および成形品で規則(EU) No.10/2011に準拠したものは、2021年3月23日までに初上市した場合、2022年9月23日まで市場に出すことができ、その在庫がなくなるまで市場に残すことができます。


テュフ ラインランド グループは、お客様が適切なアプローチを見つけ、適合要求に必要となる分析のサポートをします。詳しくは、お近くのテュフ ラインランドまでお気軽にお問い合わせください。

参照リンク: https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=uriserv:OJ.L_.2020.288.01.0001.01.ENG&toc=OJ:L:2020:288:TOC

【免責事項】
本ブログに記載された内容は、いかなる場合においても法的助言に代わるものではありません。
本内容の発信元であるTÜV Rheinland LGA Products GmbH(TRLP)は、上記の記述が各公式発表版と正確に一致していることを保証しませんが、ご提供する情報が正確かつ最新であるよう努めています。TRLPはご提供する情報の時事性、正確性、完全性、品質について、一切の責任を負いません。また、提供する情報の使用または不使用、あるいは不正確または不完全な情報の使用によって生じる重大または非重大な損害に関するTRLPに対する賠償請求については、一般的に除外されるものと致します。

 

お問い合わせ:カスタマーサービス(TEL: 045-470-1850 E-Mail: info@jpn.tuv.com

更新日 : 4/5/2021

Topics: food contact, 化学物質