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Bluetooth認証エキスパートインタビュー : 情報機器をつないで快適な社会にするBluetooth製品を世に送り出すには?

Posted by TUV Rheinland Japan on 2019/02/27 16:30:24
TUV Rheinland Japan

現代のIoT社会において、情報機器をつないで快適な社会にするBluetoothの技術は欠かせません。車載機器や医療機器など、さまざまな電子機器をつなぐ領域は広がっています。

今回、テュフ ラインランド ジャパンのBluetooth認証のエキスパートBQC:Bluetooth Qualification Consultantである、製品部 電気製品課 通信機器 シニアプロジェクトエンジニア鎌田昭一に、Bluetooth製品の認証制度について聞きました。 

 

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――― ここ数年でBluetoothの新たな機器や技術が出てきたが、Bluetoothはどのように変化していますか。

鎌田 Bluetoothの規格にはバージョン2.1から最新の5.0があります。今までは、いわゆるBluetooth クラシックといったバージョン3.0までのもので、ヘッドセット等の製品が主でした。Bluetoothクラシックでは大容量のデータを転送するため、消費電力も大きくなります。200912月にBluetooth Low Energy (BLE、低消費電力版Bluetooth) の仕様、バージョン4.0以降の仕様追加により、従来のハンズフリー通話や音楽伝送などの用途とは異なり、データ容量が少なく、消費電力の少ない新たな用途の製品に応用されるようになりました。簡単にいうと、コインセルバッテリー(ボタン電池)で動作するウェアラブル製品などです。例えば、スポーツ、フィットネス用途で手首に付ける活動量計、Bluetoothウォッチ、テニスラケットやゴルフクラブでスイングを計測するもの、玩具、ゲーム機、スマホと連動させるBluetooth電動歯ブラシ、それからバーチャルホームロボットなどです。

展示会会場の案内や、美術館の作品紹介などに使用されるiBeaconBLE BeaconBLE製品のひとつです。


Bluetoothを使用する製品は、Bluetooth認証プロセスの完了が必須

――― 製品の上市・販売に向け、認証を取得するにはどのような手順が必要ですか。

鎌田 認証を取得するには、SIGBluetooth Special Interest GroupBluetooth推進業界団体)が定める認証プログラムを遂行しなければなりません。製品を販売する企業は、テュフ ラインランドのようなBluetooth SIG認定のBQTFBluetooth Qualification & Test FacilitiesBluetooth®認証試験施設)に試験を依頼し、必要に応じてBQC (Bluetooth Qualification Consultant) のサポートを得て認証を取得します。

手順は大きく以下のとおりです。詳細は下図をご覧ください。

1. Bluetooth SIG会員登録 Bluetooth SIGの会員であることが前提となります。

2. Declaration ID取得・登録料支払 Bluetooth SIG登録料を支払い、Declaration IDを取得します。Adopter メンバー:US$8000Associate メンバー:US$40001登録・1製品あたり)

3. BQTFで試験実施 試験サンプルをBQTFに提出し、RF試験やプロファイル試験を実施します。

4. Bluetooth SIGにアップロード 試験に合格したらテストレポートと認証資料を作成・レビュー、必要な書類をBluetooth SIGにアップロード、そしてこれらの書類をCompliance Folderに保管します。

5. 認証登録手続き Compliance Folderの整備が完了したら、リスティングを行い認証登録が完了します。

テュフ ラインランド ジャパンは、日本語で手順説明します。

EAsia PacificBrochureP.03BluetoothFlow chart update 2019

 

――― 自社ブランド・自社製品としてBluetooth製品を販売する場合も、認証を取得する必要がありますか?

鎌田 Bluetooth製品を製造・販売する会社はロゴ認証を取得しなければなりません。他社が製造したBluetooth製品にロゴを貼付しての販売・流通 (小売り) のみであれば、認証プロセスを踏む必要はありません。例えば、他社が製造したBluetoothヘッドセットを購入し、自社ブランドで販売(再販)する場合、購入企業はロゴ認証の取得で販売(再販)が可能となります。再販の場合は登録認証番号を参照し、試験は行わない場合も多いです。


――― Bluetoothロゴ認証を取得するお客様から、どのようなご相談を受けるか。認証取得の際、どのようなことに注意する必要がありますか。

鎌田 費用、期間、試験サンプルの準備について(サンプル数、改修試験様に改修する内容)どのような試験が必要かという質問が多いです。

注意すべき事項は、使用するチップやソフトウエアなどの認証部品が期限切れになっていないか、仕様廃止になっていないかをご確認ください。

 

SIG認定BQTFBluetooth Qualification & Test FacilitiesBluetooth®認証試験施設)BQCBluetooth Qualification Consultant

――― BQTFとしてのテュフ ラインランド ジャパン、BQCサポートによるメリットとは。

鎌田 世の中のBluetooth製品を名乗った認証登録を見ると、間違った認証が多々見受けられます。テュフ ラインランド ジャパンは、登録手続きから試験実施、認証サービスにおいて、正しい認証を分かり易く懇切丁寧に説明しています。また、追加登録の方法、設計変更した場合の対応といったこともきめ細かく行っています。テュフ ラインランドは、Bluetooth創世記の2000年初めからサービスを提供しており、国内でのシェアはトップで、認証機関としての信頼を得ています。


|エキスパートとして

――― 認証サポートをするBQC (Bluetooth Qualified Consultant) になるには、どのような資格が必要ですか。

鎌田 BQCは年1回の試験があり、これに合格しなければなりません。試験はオンラインで、知識試験(Knowledge section40問、5時間以内)と実技試験(Practical section6プロジェクト、4時間以内)があり、試験内容は、認証規定や登録方法、Bluetooth仕様、RF試験・Protocol試験・Profile試験等です。

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|時代の最先端を行くBluetooth。鍵は「センサー+スマホ+IoT

スマートにビジネスチャンス拡大

――― 今後、無線技術はどのように発展していくと想像されますか。

鎌田 従来、無線技術は無線機器通信が主な用途でしたが、今後はよりパーソナルなものになっていくと思います。まさにBluetooth Low Energyの無線技術がそれを担っています。Bluetoothは、パソコンと携帯をつなぐ近距離無線通信技術として開発され、2000年に仕様化され認証制度がはじまりました。当初はパソコンと携帯とをつないでデータをやり取りするものでしたが、その後、携帯、カーナビとヘッドセットでのハンズフリー通話、携帯、音楽プレーヤーとヘッドセットでの音楽を聴くという用途に変化してきました。

Bluetooth Low Energyの出現により、さまざまなウェアラブルデバイスが作られました。リストバンドのようなウェアラブルな活動量計を例に挙げると、脈拍や睡眠時間などのデータをスマートフォンに送り、スマートフォン上でデータを管理します。今後、各種センサーやウェアラブルデバイスのデータがインターネットに繫がり、クラウド等で健康管理されるような社会になるなど、IoTの世界に発展していくと予想されます。

また、現在のBluetoothでは、屋内やビルの管理(照明や電力等)を網の目の様に管理するMESHプロファイルという仕様が出来て、今後発展していくと思われます。

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<豆知識>Bluetoothの名前の由来

958年に血を流すことなくデンマークとノルウェーを統合した、王ハーラル・ブロタン・ゴームソンは、「青い歯」(英語でブルートゥース)と呼ばれていました。国を統合することと、PCと携帯電話を繋ぐことを関連づけ、1900年後半に近距離無線技術の標準化を進めていた企業の技術者が、仮のコード名として、この王の名前を使ったことに由来しています。

<鎌田職歴>
東芝でマイクロ波の開発業務に従事した後、2001年東芝が設立したBluetooth認証会社BTQにて認証業務に従事。日本人で2人だけのBQB (Bluetooth Qualification Body) 資格を取得後、認証制度変更に伴い、BQEBluetooth Qualification Expert)に。2018BQE資格廃止により、BQCBluetooth Qualification Consultant)資格を取得し現在に至る。

 

<テュフ ラインランド ジャパンのBluetooth認証サービス>

  • テュフ ラインランドは、Bluetooth SIGから認定されたBQTFBluetooth Qualification & Test FacilitiesBluetooth®認証試験機関)として、2001年よりサービスを提供。
  • テュフ ラインランド ジャパンには10年以上の経験を持つBQC(Bluetooth Qualification Consultant)3名、認証業務に従事。
  • テュフ ラインランド グループのBQTF6ヵ国:日本、香港、韓国、上海、深圳、台湾。
  • 申請から認証登録まで、スムーズな海外市場進出をお手伝い。


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更新日 : 3/30/2021

Topics: 通信機器, Bluetooth, tuv.communication, 無線, IT機器, エキスパートインタビュー, expert-telecom