「企業リーダーは自社の労働安全基準に対していっそう力を入れ、より大きな責任を担う必要があります」。これは、テュフ ラインランドのアジア太平洋地域マネジメントシステム認証担当ヴァイスプレジデントであるネリー・ヨンの見解です。
ネリー・ヨンは自動車、品質マネジメント、環境マネジメントシステムなどに関する各種ISO認証の主任審査員も務めており、アジア太平洋地域での第三者審査経験が豊富です。ここでは、ISO 45001の現在および今後の動向について説明しています。
労働安全衛生(OH&S)の最近の動向
新規格ISO 45001:2018の主な変更点について
ILO(国際労働機関)によると、アジア太平洋地域では毎年110万人以上が労働災害または作業関連疾患で死亡しています。この状況を受けて、アジア太平洋地域各国の政府、労働者、雇用主は職場での事故や疾病を防ぐ取り組みを強化しています。
こうした動きが続く中、社内やサプライチェーンにおける安全衛生マネジメント確立に向けた取り組みを指し示す中心的な規格として、ISO 45001が多くの組織で活用されていくでしょう。
企業がISO 45001を実施する上で最も課題となるのは、組織のトップマネジメントの意識改革です。ISO 45001では、組織の労働安全衛生(OH&S)に対する経営者の責任と関与が、規格の有効性や統合化にとって非常に重要です。ISO 45001は労働安全衛生を組織のマネジメントシステムに組み込むことを要求しており、トップマネジメントは安全衛生プログラムにおいて強力なリーダーシップを発揮する必要があります。これまでのように、安全衛生担当者のみが責任を担うわけにはいかなくなります。
今後は、トップマネジメントの責任において、事故や傷害が発生する前に、リスクベースの事前対応アプローチを行い、あらゆる潜在的なハザードのリスクを確実に特定しなければなりません。ISO 45001で規定されている事前対応アプローチを実現するためには、監査の実施、作業安全分析、職場環境のモニタリングが極めて重要です。
ISO 45001:2018認証のメリット
- 国際的に認知された認証を取得することにより、労働安全衛生に対する取り組みを証明し、利害関係者の中で競争優位性を確保することができます。
- 安全に対する従業員の意識と関心が向上します。
- 体系的に業務上のハザード事象が減少します。
- 業務の中断や不要なダウンタイムを削減することができます。
- 顧客や当局、投資家の貴社に対するブランドイメージが向上します。
- 法令その他のコンプライアンス実施に対する信頼度が向上します。
他のISO規格やビジネスシステムとの整合性が強化され、組織間および組織内の意思疎通が円滑化されます。
ISO 45001:2018を活用してリスクの軽減を図ることによる企業のメリット
すでに多数の多国籍企業が、ISO 9001、ISO 14001、ISO 45001を含む複数のISO規格の統合認証プロジェクトを開始しています。これは、3規格が共通の上位構造を採用している一方、OHSAS規格にはこの構造が使用されていないためです。
シンガポール、日本、韓国の多国籍家電メーカーなど一部の企業は、複数の異なる規格を維持する代わりに、新規格のメリットを生かして統合認証を取得し始めています。
さらに、ISO規格の複合認証を企業のサプライチェーン全体で活用することも可能です。経営陣が精力的に取り組んでいる企業では、これが大きな強みとなり、差別化を図る上での重要なポイントになります。
全体として、今後の労働安全では、企業の安全担当部門だけでなく、経営陣首脳部の関与が不可欠です。職場での事故や傷害をなくすための最良の方法は、生きた手法として、リスクベースの事前対応的なアプローチを組織的に行うことです。
テュフ ラインランドは、ドイツの認定機関DAkkSから認定を受けた認証機関です。このような認定機関による評価は、テュフ ラインランドがISO国際規格に基づき提供している質の高い認証サービスへの信頼につながっています。テュフ ラインランドは、規格の認証に関するお客様のあらゆるニーズに対して、ワンストップソリューションを提供しています。
<参考>OHSAS 18001からISO 45001への移行:安全担当責任者の留意点
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